二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナイレ 【薔薇の倉庫】 ( No.770 )
日時: 2011/07/22 18:53
名前: 薔薇結晶 (ID: 2v9NroYJ)
参照: http://bluerosebreak.blog.fc2.com/

『眼〜eyes〜』

——AI——











「南沢さんが行方不明か…」
「心配だな…、普段はそう言う人じゃないのに」

≪赤≫神童拓人、≪青≫霧野蘭丸。
彼らの隣には≪混色≫七瀬虹彩、≪紅≫咲夜梓美。
12層目の広場で集会を開いていた。

「しかも2層目の松風が居るダンジョンの入り口だって言うから謎だな」
「天馬はそういう事するわけないし」
「いや、するんだったらあたしは全力であいつを否定するぞ」


「何処に居るかは実際分かってたりするの」

え、と一瞬耳を疑う発言をする人物が。
振り向かずに誰か分かった虹彩が、こう問う。

「で、鈴蘭さん。何処に居るんですか?」

そう。“探索”のPPスキラー、仙葉寺鈴蘭。
魔法陣の10倍以上の速さで何かを見つけ出す事が出来る。
しかも、層を超えて。

「10層目に≪ライトニング・クアランス≫って言う町があるの、知ってる?」
「…聞いた事もない」
「じゃぁ、行ってみて。10層目の中央街から歩くしか、方法は無いから」
「…今何て言いました?鈴蘭さん」
「だから、≪ノーミグラトリー・エリア≫なの」

今鈴蘭の言った≪ノーミグラトリー・エリア≫とは、移動魔法陣で移動できないエリアの事だ。
つまり今回の場合、10層目、≪黄≫の魔族の中央街から徒歩で行くしかないのだ。

「ちなみに、10層目の中央街の東の門を出て12㎞くらいだから!」
「「「12㎞!?」」」

霧野と梓美と神童の声が重なった。
虹彩はほぼ無表情。

「仕方ないじゃない。歩いて行きましょ」
「か、簡単に言うな虹彩」
「≪奏者マエストロ≫で何とかならないのかよ神童!」
「無理だ。そう言う≪舞踊姫アーヴィルコーヴァ≫はどうなんだ?」
「無理に決まってんだろ!!あたしのスキル効果あげるだけだっつーの!!」

声を荒げて言う梓美。
その時すでに虹彩は移動魔法陣を発動。

「早く来なさい」

と言われ、魔法陣に飛び込む3人。
虹彩はそれを確認すると、魔法陣の中に入った。



毎度お馴染みのしゅぱんと言う音を立てて4人が着地する。

「中央街の東門から12㎞か」
「遠いな…」
「あ、そうだ」

ん?と言う表情で3人は梓美を見る。
そう言えばと言わんばかりの梓美の表情に、謎が深まる。

「今考えてみれば≪舞踊姫アーヴィルコーヴァ≫で、何とかなる」
「何とかなるのかよ」
「何でさっき思いつかなかった」
「今咄嗟に。なぁ虹彩」
「何?」
「この層に飛行系のモンスター、居るか?」






























「…便利なのね、≪舞踊姫アーヴィルコーヴァ≫って」
「だろ?」
「まさか…」
「踊るための≪化身≫がこんな形で活躍するとは」

4人は今10層目の上空に居る。
しかも、【サンダー・ホークス】の上に乗って。

「確かに≪舞踊姫アーヴィルコーヴァ≫ってのは≪踊る化身≫だけどさ、その…踊りの中にも≪飛翔の舞≫ってのがあってだな。飛行系モンスターにその攻撃が成功したら自在に操れるって言う便利な能力があるんだよ」
「他には?」
「数えきれないくらい」
「…」

余りに簡素過ぎる回答に体勢を崩しそうになった神童と霧野。
だが、体勢を崩せば、まっさかさまに…。

≪化身≫とは、≪第3ノ蕾≫から生まれた魔族の極一部が習得する特殊能力。PPスキルではない。
それは先程から上がっている≪舞踊姫アーヴィルコーヴァ≫や≪奏者マエストロ≫、≪剣聖ランスロット≫の様なものだ。



「あ、もしかしてアレか?」
「……っぽいな」

霧野が気付く。梓美もそれを確認する。
かなり小規模な町だ。

「地図には載ってない町よね、多分」
「何で載ってないんだ?同じレベルでも≪クリムゾン・ケイデス≫は載ってるぞ」
「……もしかして、≪失われし町(ロスト・タウン)≫の1つか?」
「≪失われし町≫?」

霧野の発した単語に聞き覚えがない3人。これは≪青≫と≪蒼≫の特性かも知れない。
≪青≫と≪蒼≫の特性。それは“究極の知識”。
この2つの魔族は常に知識を求め続けるのが、宿命に近い特性なのだ。

「≪失われし町≫ってのは、≪第5次魔族大戦≫までに消滅したとされている町の事だ」
「5次!?2年前のアレでも≪第13次魔族大戦≫だぞ!!」

この世界はどれだけ戦争を起こせば気が済むんだろうか。
三次元で2回も起こっていると言うのに、≪ヴィレネイズ≫では今までで13回もあったと言う。

「故に地図に載っていない。情報があまりに古いとされているんだ」

さすがに≪ライトニング・クアランス≫って町は聞いた事なかったけど、と彼は言う。


「そんな町に、南沢さんが…?」
「…訳分からん。情報収集でもしてるのか?」

疑問を抱きながら、彼らは≪失われし町≫、≪ライトニング・クアランス≫へ向かう。