二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナイレ 【薔薇の倉庫】 ( No.776 )
- 日時: 2011/07/31 14:49
- 名前: 薔薇結晶 (ID: Tf5VGYTU)
- 参照: http://bluerosebreak.blog.fc2.com/
『眼〜eyes〜』
——魔力無き“発言者”(2)——
「君の考える事は良く分からないね、バダップ君」
3層目の≪王牙≫の本拠地を後にしたバダップ、ミストレ、エスカバ、そしてエノン。
エノンは以前の衣装とは取って代わって、≪王牙≫の軍服を着ている。
「まさかエノンを≪王牙≫に入れようなんてな」
「一体何考えるんだと思ったぜ…」
「何で僕を≪王牙≫に入れようなんて考えたんだい?」
「PPスキルだ」
「あぁ…、スキル目当てかい。なるほどね」
「いや、戦闘以外にも使えるんじゃないかと思ったんだ」
「え?」
エノンが首を傾げる。
バダップは歩きながら説明する。
「≪王牙≫は悪事を取り締まるような組織だ。だが、犯人を逮捕する時に、ほぼ全ての件で出るのが…」
「…まさかお前…」
エスカバが感づいたようだ。
「エノンを治療班に入れる気なのか?」
「…あぁ」
それに頷くバダップ。
どうやら、エノンを治療班に入れる気だったらしい。
「治療班?」
「あぁ。殆どの件で出るのは怪我をした被害者だ。時々、瀕死状態の被害者だって出る」
「…でもさすがに生き返らせる事は出来ないと思うよ」
「それは出来たら≪金眼≫に逆らうようなものだ。出来る方が可笑しい」
う〜ん、と悩むエノン。
やはり彼女が心配するのは。
「僕見えないから、出来ないと思うんだけど…」
眼が閉じたままの彼女にとっては、それが一番の問題だった。
何処に傷があるかが分からないのはかなりの致命傷だ。
「なぁエノン」
「うん?」
ミストレがエノンに話しかける。
「今までずっとあの館に居たのか?」
エノンが見つけられたのは≪吸血鬼の巣≫の最深部の館だ。
大量の何かが出てから、バダップがエノンを発見した。
「あと、大量に出てきたあれは何だ?」
「最初の質問は多分イエスだね」
「多分?」
「記憶が無いからね。大量の物体は多分…」
右手を差し出す。
そして、金色の光と共に紅と黒の蝶々が出てきた。
「蝶だったのか…」
「正確に言えば僕の魔力だね」
そう言うと蝶々は金色の光と共に消えた。
バダップがエノンに問う。
「お前…眼球は残ってるか?」
「眼球って…無いよ」
ほら、と。
エノンが左眼を開ける。
其処には、ぽっかりと空洞があった。
真っ黒。眼球は無かった。
「「ッ…」」
息の詰まるミストレとエスカバ。
ゾンビみたいでしょ、とエノンが言う。
だがバダップは別の謎が浮かぶ。
——魔力の源である眼球が無いのに、何故魔力があり、あの時魔法が使えたのか——
「…?」
エノンが急に首を傾げる。
どうした、とミストレが聞く。
「ミストレーネ、此処は何処だい?」
「何処って…3層目の中央街だけど」
「……血の匂いがするよ」
エノンが血相を変えてそう言った。
それを聞いて3人は辺りを見回す。
「…原因はアレだな、多分闇市で乱闘があったんだ」
「闇市…って何」
「闇市ってのは、正式に認められていない店の集まった場所だ。≪ヴィレネイズ≫に30くらい確認されてる」
「…でも、結構大量の血みたいだ」
エノンが走り出す。
慌てて3人が追いかける。
「おい!!見えないのに走るな!!」
「大丈夫、蝶が誘導してくれるから」
エノンの周りに、先ほどの紅と黒の蝶が舞っている。
「“発言・速”!!」
「ってスピード上げたよエノン!!」
「バダップ、どうするんだ!?」
「俺達もスピードを上げるしかないだろう」
「“堕天使の翼(フォーリン・フェザー)”」
バダップが魔法を発動して、2人を掴んで飛行。
エノンを追いかけた。