二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナイレ 【薔薇の倉庫】 ( No.777 )
日時: 2011/08/03 21:50
名前: 薔薇結晶 (ID: iaPQLZzN)
参照: http://bluerosebreak.blog.fc2.com/

『眼〜eyes〜』

——AJ——










すとん、と【サンダー・ホークス】から飛び降りて着地する4人。

「≪ライトニング・クアランス≫…、質素な町だな」
「こんな所に住んでる魔族が居るとは…」


「ぐあぁあぁぁっっ!!!」

「「「「ッッ!?」」」」

何処からか叫び声が聞こえてきた。
とても辛そうな叫び声。

「何だ今のッ!!」
「叫び声ね、…多分女だと思う」

梓美の問いに虹彩が答える。
4人は一斉に、声がした方へと駆けて行った。








「はぁっ、はぁっ…はっ…ぁ…」

「ちょっとちょっと、こんなに脆いんだ?“九尾妖狐(フォックス・ナインズ)”も大したスキルじゃないのね」


真っ白な9本の尻尾がだらりと垂れている。
少女は手首と足首を鎖で縛られていて、服装もボロボロだった。

彼女の名前はアリス。風野アリス。
とても珍しいPPスキル、“九尾妖狐”の保持者。
≪デッド・オア・アライブ≫で、ジュリア達とポーカーをやった、彼女だ。
あの後、3層目で行方不明になっていたのだが、とある人物に監禁されていた。

隣には、≪特殊≫の魔族。
赤紫の髪で、アリス同様手首足首を鎖で繋がれている。

「で…、PPスキルが開花してないだけ?それとも、PPスキルを持たない遺伝子な訳?」
「さぁ…な…」

無表情で答える、この魔族こそ南沢篤志だった。

その隣に居るのは、黒髪黒眼。
だが、≪黒≫の魔族ではない。
彼女は道明寺輝羅。先日南沢と共に誘拐された、“宝石魔女”だ。

「いつまでも私達を拘束しておけると思わない方が良いよ。今頃≪知識の宝庫≫は私達を探してるでしょうから!!」
「黙っててよ、耳障りなの」

女が右手を輝羅に翳す。
すると、レモン色の電流がバチバチと音を立てて、輝羅を襲った。

「ッ……!!!」
「あまり、…反抗するな…」

南沢が小声で呼びかける。

「って言うか、反抗するったって無理でしょ?鎖で繋がれて、此処まで体力削られてるのにねぇ」




そんな時だった。

<<バアァアアァアァァァアアァンッッ>>

と、豪快な音を立てて、監禁している部屋の扉が吹っ飛んだ。


「なっ…嘘でしょ、この扉は魔法を完全に弾く特殊金属なのに…ッ!!」

「あ、魔法効かなかったのか。そりゃ知らなかったな」
「良くこんな扉蹴破れたな、咲夜」
「さすがアズw」

「…お前らか…、道理で…」

4人が一斉に声の主を見る。

「南沢さんッ!!」
「何だ此処…監禁専用部屋か!?」
「って言うより拷問部屋って言う方が正しいんじゃない?」
「まぁどうでもよくね?」

どうでもいい訳あるか、と梓美に3人からツッコミが飛ぶ。

「さてと…“指揮神”サンよ、指示を頼む」
「分かった」

神童が梓美に答える。

   「3人で一斉攻撃、此処を破壊しろッ!!!」

  「「「了解ッ!!」」」

虹彩はアルトサックス、梓美は手裏剣、霧野は槍を持ち、魔法陣が一気に展開された。

「行くぞォッ!!!」

と、梓美が大量の手裏剣を天井に打ち付け、天井に無数の罅を走らせた。
間髪入れずに虹彩がアルトサックスの演奏を始めた。

——≪残響(レヴェルベラシオン)≫!!——

その名の通り、残響、反響と言う意味のフランス語。音楽用語でもある。
梓美が入れた罅に旋律が流れ込み、大きな亀裂を入れる。
そして、

<<ガラガラッ……>>

「崩れるぞッ!!」

霧野が叫ぶ。
神童が南沢、輝羅、アリスを移動魔法陣で外へ運びだし、残るは彼らと、女のみ。

「チッ」

と、女が舌打ちすると、瓦礫の中に消えた。

「おい霧野っ、まだルートが見えないぞ!!」
「今作ってるから静かにしてくれッ!!」

キィンッ、と言う音と共に。
梓美の足元には紅色の光が一筋伸び、外へと続いている。
同じく虹彩の足元にはピンク、神童の足元には赤、霧野の足元には青の光。
4人は素早くその場を脱出。



「ったく、寿命縮むぜ…」
「俺達を動かしてるのは心臓じゃなくて眼だ。眼に傷が無ければ生きていける」

と、冷静に神童が梓美に返す。
うるせぇ、と吐き捨てる梓美。

「そう言えばアイツは?」

と、虹彩が言う。
即答で此処には居ない、と霧野が返す。

「“透視”使ったのか」
「正確には使ってる、だ。此処に生命反応は俺達のしかない」
「逃げたのね、魔法陣で」
「だろうな」
「とりあえず、この3人12層目に連れてって治療してもらおうぜ」

3人が頷き、魔法陣で12層目へ消えた。