二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナイレ 【薔薇の倉庫】暑中見舞い受付中! ( No.793 )
日時: 2011/08/13 17:30
名前: 薔薇結晶 (ID: 4VTwAiyE)
参照: http://bluerosebreak.blog.fc2.com/

『眼〜eyes〜』

——AM——











「……」
「一之瀬」
「…土門か、何だ?」
「≪天体観測≫から連絡が来た。武器が出来上がったらしい」
「そうか、秋を呼んでから行こう」
「おぅ」

一之瀬が立ち上がる。

彼らが居たのは3層目の騎士団の基地だ。名を≪闇堕の騎士団(フォール・ザ・ナイツ)≫。
彼らは此処の専属騎士で、秋も含め1番隊の騎士。
つまり、トップクラスなのだ。

「秋!」
「あっ、一之瀬君」
「武器が出来上がったって。行こう」
「ホント!?武器が出来たの!」

ぱっと秋の表情が明るくなった。
それほど≪天体観測≫の女主人、水無月星夢の『特製武器』を楽しみにしていたのだろう。

「これで『オーヴファロン』ともお別れかな」
「それ結構年季入ってるもんな」
「うん。私が…10歳の時にドロップで手に入れた奴だから…4年かな」
「長いな」

一之瀬が10層目へ繋がる魔法陣を開いた。
秋が飛び込んで、土門が飛び込んで、一之瀬が飛び込んだ。











一方、10層目中央街、≪天体観測≫。

「全く…、出来上がるのが遅れたぜ」

“武器職人”星夢が1人で零していた。
隣に居た“紅天”南雲。

「何てったって特急であいつらが来たしな」
「あぁ、まさか“薔薇の女王”と“神桜”が来るとは思わなかった」
「しかもお前『龍の眼宝』で剣作るなんて言うしな」
「作るなら最高級じゃ無けりゃな」
「その割にお前武器使わずに戦うよな」
「重いし」
「怪力のお前が言うか」
「スピードが落ちるんだよ。≪黄≫特有の体術が活かされん」

カランカラン、と、鈴の音。
そして3人分の足音で、星夢はそれが誰かを悟った。

「来たか、“不死鳥の翼”…チューリップ、持って来い」
「へいへい…(ったく人使いが荒い…)」


表のカウンターに星夢が顔を出す。
其処に居たのは紛れもなくあの3人。

「仕上がったらしいな」
「あぁ、遅れた事を謝罪する」
「構わないさ、性能が良ければ」
「それは保証してやろう」
「持って来たぜ」

と、南雲から3本を受け取る星夢。
3人をソファに座らせる。
自らもソファに座り、南雲はその脇に立っている。

「まずは“変形”、アンタの注文した『神有月』だ」

そう言うと、星夢はその刀に巻かれた紺色の布を外す。
其処にあったのは、朱色の光沢を放つ、美しい刀だった。

「おぉ、本物ってこんなに綺麗なんだな…」
「何だよ、偽物でも見た事あんのか?」
「一回騙されて偽物買った事あって、すぐ折れた」
「ザマァw」
「ひでぇなお前Σ!」←南雲
「偽物にこの光沢は出せねぇよ、この『幻紅葉』の光沢はな」
「『幻紅葉』使ってんのか、すげぇな」

『幻紅葉』は6層目のAランクモンスター【メイプルウィッチ】が200分の1以下の確率で落とすSSのアイテム。
物凄く美しい光沢を放つ着色料として、星夢の中ではお気に入り素材の1つだ。

「しかし、これで終わらないのが俺の武器だ」
「?」
「此奴にはとある仕掛けを施しておいた。これ持っとけ」

と、土門に渡したのは淡い黄緑の玉宝。

「何だこれ」
「それが割れた時にこの『神有月』…いや、『神有月・椛』は特有の力を発揮する。だが、故意に割るなよ」
「わ、分かった」


「次は“俊敏”」
「私ずっと楽しみにしてたの!貴女の武器が完成するの」
「そうか、ありがとう。アンタのレイピアだ」

紺色の布をはがす。
中から出てきたのは柄の部分に羽の彫刻の施してある、細身剣。

「わぁ…!」
「名前は『フロゥイングエンジェル』。もちろんコイツにも特性はあるぜ」
「綺麗なレイピアね!…この赤い宝石は?」
「それが特性を引き出す、いわば此のレイピアの引き金だ」
「引き金…?」
「アンタの魔力を此処に直接流し込め。そうすれば…」

星夢が魔力を加える。
するとレイピアの羽が動きだし、ふわふわと浮き始めた。

「う、浮くの!?」
「あぁ。これで『オーヴファロン』も使いながら戦闘が出来る」

アンタの魔力を加えればアンタの言う通りに動く、と星夢は後付する。

「…まだ『オーヴファロン』は使うのね」
「使いたくないのか?」
「…嫌な思い出しか残ってないから…」
「そうだったのか…ウチの武器買ってくか?」
「後で見せて貰おうかな」
「分かった。最後はアンタのだ、“不死鳥の翼”」

一之瀬が身体を起こす。

「望み通りかは分からんが、俺の中でも最高傑作の1部になった」

星夢がゆっくりと布を外す。
其処にあったのは、極普通の片手剣。

「…何だ?」
「飾りは言うほど施してない。だが、性能はピカイチだ」

確かに、その剣は刃に少しの文字が彫刻されているだけ。
柄や他の部分は特にこれと言った特徴が無い。

「性能がピカイチ…か。証明してくれ」
「自分で確かめてくれ。≪闇の図書館≫1階の『幻獣の悟り』を読んだ後に、な」
「一々そんな事をさせるのか」
「確かに面倒に聞こえるだろうが、『幻獣の悟り』は薄っぺらい本だ。頑張って読め」

ちなみに名前は『アンティニティーライズ』だ、と星夢は付け加える。

「注文は以上でいいか?」
「……あぁ。代金は?」
「其れなんだが…、あんた等が前使ってた武器と交換、でどうだ?」

3人はお互いに頷き、

「「「あぁ/いいよ」」」