二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナイレ 【薔薇の倉庫】暑中見舞い受付中! ( No.812 )
日時: 2011/08/28 00:54
名前: 薔薇結晶 (ID: L529GKb7)
参照: http://bluerosebreak.blog.fc2.com/

『眼〜eyes〜』

——魔力無き“発言者”(3)——






「血の匂い…、」

エノンが必死にその匂いを追っている。
蝶々と共に。

「あの場所で…彼女が匂い続けた…感じ続けた…、あの匂い…!!」




「ってかエノン速過ぎだろ!!!」
「全然追いついてねぇぞ、バダップ!!」
「うるさい、黙ってろ。落とすぞ」

と、バダップは落とすふりを一瞬だけして見せた。
「うわッ」と声を上げて、黙り込んだ。

「あ、居た」

ミストレがぽつりと呟く。
前をふと見ると、エノンが、まさに闇市に入る階段を降りる寸前だった。
3人も、飛行を中断して階段を下りる。





「…どうしよう…、分からない」

エノンは闇市で血の匂いが此処だとはっきり分かったが、分からないのは、誰が怪我をしているか。
其処に3人が現れる。

「≪王牙≫Aだ!!武器を下に置けッ!!!」
「そして跪きやがれ野郎共ッ!!!」
「ミストレ口調が(((ry」

すると、乱闘を起こしていた魔族は剣や槍を置く。
何と言っても相手は≪王牙≫だ。敵う訳がない。

「エスカバ、奴を呼べ。負傷者2名」
「了解」

「マナ、至急3層目中央街地下の闇市に来てくれ。負傷者2名、切り傷、相当深いと見える」
[分かった、すぐ行く]

エスカバの通信相手はマナと言う名前らしい。
素っ気無い返事をしてから約3秒後、彼女と思われる人物が魔法陣から現れた。
ピンクのボリュームのあるポニーテールに、紅葉の椛を思わせる綺麗な≪赤≫だ。

「マナ、頼む」
「了解、任せなって」

ガッと、負傷者の傷口を片手で塞いで、ぽつりと彼女が何かを呟くと魔法陣が負傷者の腕全体を覆った。
魔法陣から緑色の粒子が無数に出現し、傷口を塞いでいく。
ものの5秒で、傷口は完全に塞がれた。

「さぁて、誰かな≪反対者(アンチャー)≫は」

と彼女はニヤリと笑った。
彼女が言っている≪反対者≫とは、今回の場で言う被害者の反対、加害者の事だ。

「マナ、必要ない」
「嘘でしょ?…まぁいいや。本部に患者置いてきたまんまだし、今回は引くよ。だけど次は…」

      「≪反対者≫は1人として生き残れると思うなよ」


そう言うとマナは魔法陣の中に飛び込み、≪王牙≫本部に戻った。
するとエノンは。

「ねぇ、彼女のスキルって結構…いや、相当珍しいものじゃないのかな?」
「あぁ。≪ヴィレネイズ≫には彼奴しか無いスキルだ。お前の“発言者”と同じでな」
「どんなスキルだい?是非とも教えて欲しいんだけどな」

それを聞くと、3人は一瞬戸惑ったが、ミストレが口を開いた。

「マナ・エンディエル。≪王牙≫治療班総班長、PPスキルは“完全反発(アンチ)”」
「“完全反発”は全てを否定するスキルとして生まれたんだ。知ってる奴なら知ってるが、あのスキルはな、」
「≪ヴィレネイズ≫で最も恐ろしいスキルとして知られる」
「…一体どういう風に治療を?」
「病気の場合は、ウイルスを否定するんだ。そしたらPPスキルが働いて、完全に消滅する」
「今のような怪我の場合、筋肉や皮膚、血管の分離を否定したんだ」
「で、“完全反発”が作用したんだね。良く分かったよ、ありがとう」

だったら、とエノンが何か思いついたように言ったが、あまりに小声だった為、3人には聞こえなかった。