二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: FINALFANTASY—オリジナル— 〜白黒の魔術師〜 ( No.108 )
- 日時: 2011/02/16 19:43
- 名前: MILKターボ ◆xyJ9iZcsj6 (ID: /z9KW9Ro)
第弐章 〜Master 【師匠】〜
(狩人は、独りで生きる者。だからこそ、知っておかなくてはならない。“仲間”の大切さを__)
師匠はよく、そう言っていた。だけどあたしはもう、師匠の口からその言葉を聞く事はない。
_師匠は、この世にいない。彼は数年前、しとめようとした魔物の返り討ちに遭い、命を落とした。
でもあたしは、師匠の仇討ちなんてことはしない。
狩人は、私情に動かされてはならない。私情に動かされたその時、狩人には__破滅が待っている。
師匠には、何らかの迷いがあったのかもしれない。そこを魔物につかれたのだろう。
ただ_ただ、師匠のしとめ損ねた『あの魔物』は、[狩ろう]と思う。だって狩人は、目につく全ての魔物を狩る義務を負っているからだ。
とにかく、この手で『あの魔物』を狩るまでは_死ぬ訳には、いかない。
「うわぁぁぁぁっ!」
誰かの悲鳴が、あたしを我に帰らせた。
くるり、と魔物の亡骸に背を向け、悲鳴のあった方角に走っていく。
_男が一人と、女が二人。魔物は、数匹。弓を引きしぼろうとして、やめる。もし人に当たったら大変だからだ。
、、、
左手を刀の鞘にかける。刀の柄には、『正宗』の文字。
静かに刀を抜き放ち、魔物に斬りかかる。女の一人_銀色の目だ_が驚いたような顔をしてこちらに向けたが、戦いが終わってから話を聞こうと思ったのだろう、すぐに顔を魔物の方に向けた。
ザン
_斬!
最後の一匹を、斬る。
ほっと息をつき、銀色の目の女が話しかけてきた。
「ありがとう。わたしの名前はサラ」
銀色の目の女_サラが言うと、サラじゃない方の女が
「あ、あたしはレーヴェ」
に次いで男が
「俺はロスで、お前は?」
お前の名前は何ていうんだ、とまでは言わずに言葉を切る。
ホワイトテイル
「あたしは“白き尻尾”」
「ほわいとている?」
三人は同時に首を傾げる。
「ま、名前というよりは通り名だけど」
…わかりづらい言い方だが伝わるのか、コレ?
、、
そんな作者の不安をよそに_っていうかなんで作者出てきてんだよ。世界違うだろ!どうやって出てきたんだよ!お前出てきたせいでシリアスなのにコメディの雰囲気になっちゃってるじゃねーか!_サラは、
「あ、分かった。あなた狩人なのね」
…分かってくれたようだ。やっぱりサラは良いねー作者に優しいよ!
「そ、あたしは狩人」
と、うなずく(あたしは作者を無視する方向に決めたのだ)。
「かりうどって何?」
サラは分かったようだけど、後の二人は分かってないらしい。サラが説明をしている。
「ふーん、大体分かった!」
あまり分かってなさそうな顔だが、レーヴェは分かってくれたらしい。
ロスはレーヴェよりも理解力は高いらしく、ちゃんと分かっていたようだ。
「うーん…でも、ホワイトテイルって長いからホワイトで良いよ!言うの面倒くさいし」
その言葉に今度はあたしが首を傾げる番だった。
「はぁ?」
「はぁ?じゃなくて。だって、次の町_ロットまで一緒に行くんでしょ?」
_いつ決まったんだ、それは。
「え、違うの?」
「_あたしは、狩人」
「んなこと分かってるよ」
「狩人は、独りでないといけないんだ」
「なんでさ」
「狩人は_狩人は、[弱い]からだ」
「弱い?だってさっき戦ってたけど強かったよ?」
首を、横に振る。
「狩人は、旅人じゃないんだ。狩人は、集団になると途端に弱くなる」
レーヴェがなんで、と言う前に、言い切る。
「狩人は、利を目的に世界を廻る者だ。利とは欲望と紙一重の存在_。欲望は、人間を裏切らせる感情だ。裏切りに遭い、自分の命を落とさぬように、狩人は人を常に疑わねばならない。
モロ
—人というのは、脆いものなんだ。特に、信じない者ほど、弱い者はいない。それ故、狩人は集団になると弱くなるんだ。だけど独りなら、狩人はいくらだって強くなる。
ミニク
それと同じで、狩人に通り名だけが有るのは、醜い情_例えば強欲、憎悪、嫌悪とかだ_を消すため。名があることでその者は人間であり、情が有ると言われ_逆に名が無いと、その者は人間では無く狩人とされ、情は消える。
そういう考え方にもとづいて狩人に名は与えられない。ただ、通り名_仮の名ならば、問題ないだろう、という訳で狩人には名前が無く、集団になると弱くなるんだ」
…といっても狩人は独りである分、仲間の大切さを他の誰よりも知っているが。
あたしは心の中で付け足した。
「そんな訳で、あたしはお前等とは付いていかない」
「えー、行こうよ!ね!ね!」
レーヴェがダダをこね始めたその時_
ホワイトテイル
「よう、“白き尻尾”」
魔物が、言った。
「お前は_」
知らぬ間に、呟いていた。
「お前は、幻術師!」
魔物は_幻術師は、さけるのではないか、と思うほどニイッと口の端を吊り上げて、
、、、、、、
「おひさしぶり♪」