二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: FINALFANTASY—オリジナル— 〜白黒の魔術師〜 ( No.133 )
- 日時: 2011/03/13 10:20
- 名前: MILKターボ ◆xyJ9iZcsj6 (ID: R/M39rbJ)
第九章 〜decisive battle 【決戦】〜
それが、村長の話した事。
何故、二人を止めなかったのかと、咎めたい気分だったけど、止めなかったおかげで
あたしは生まれたのだから…正直、複雑な気分だ。
あたしには、村長を咎める事も、感謝する事もできない。
——中途半端な人間。
そんな思いが脳裏を横切る。さっきは、あたしが狩人なのか人間なのかで迷い、
今は咎めるか感謝するか、ということもできない自分。あたしは、どうしたらいい?
—その答えは、一つ。
「さて____幻術師を、討ちに行ってくる」
その言葉に、部屋(というか建物?)にいた全員が頭にクエスチョンマークを浮かべた。
「討ちに行くって言っても……幻術師がどこにいるのか、リヴには分かるの?」
サラはそう言うが、あたしには、奴がどこにいるのか分かる。
「————そこだっ!」
短剣をクナイのようにして、ルミの隣めがけて投げる。
(「ひっ」とルミは言ったが、それは無視して)
ひゅん、という音がした後、壁にグサリと短剣が刺さる。
アイツ
くっくっくっく、という幻術師の嫌な笑い声が聞こえる。
「おや、おや。せっかく君の苦しむ様を見ていようと思ったんだけど____」
続いて矢を数本、放つ。幻術師はそれらを全てかわし、
「もう、終わりなのかなぁ?」
余裕の一言。
「さて、さて。君は、一体、誰なんだい?」
一瞬、心が揺らぐ。だけど直ぐに、
「あたしは、リヴだ!! 一人の“人間”として、お前を討つ!」
ルミが横で、
「ストライ!」
と唱える。力が湧くのを感じる。
幻術師にむかって、刃を振り下ろす!! が、かわされる。
奴は笑いながら、さっきあたしが放った矢を、素手で投げる。あたしはそれをかわした__が、
その内一本が左頬を(なんか今日左頬ばっかり酷い目にあうな…)かすめる。
「ケアル!」
サラが唱え、ルミは
「ヘイスト!」
と唱える。傷はふさがり、動きが素早くなる。
「あたしは、」
幻術師の攻撃をかわす。
「一人の“人間”として、父さんや母さん、尻尾の仇を討つ!!」
全ての力を、思いを、込めて。
「てやあああああああっ!!!」
——斬!
重い手ごたえを感じたが、それは一瞬だった。
「ぐ…は…っ」
幻術師の体が、真っ二つに分かれる。
「…やった…」
幻術師の屍を見下ろす。…小さな、だけど欲望の大きな幻術師。
「おめでとう」
サラとルミはそう祝してくれたが、村長は一言。
「仇を討ててよかったの。
じゃが、この病院を、めちゃくちゃに壊しおって……立て直すのにいくらかかることやら……」
その言葉にあたし達は、
「はは………」
と笑うしかなかった。
———>>100突破記念・長編番外“狩人”、終わり———