二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: -ONE PIECE- 月追う兎 \返信100突破!/ ( No.180 )
日時: 2011/02/24 21:33
名前: なまくら将汰 ◆yKq/Ct0zKs (ID: /gSTfiqf)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

[>Episode44

「カシブ兄ちゃんっ!!」

デイルの目の前に人がいる。
まっすぐと立ち、少し微笑んでデイルを見ている。

「何でこんなところにいるんだよ」

カシブと呼ばれた彼は、何もしゃべらない。
そして、表情はそのまま、自分の真後ろに視線をやる。
デイルもそれに合わせて目を動かす。

もう1人、いた。

「ファング、兄ちゃん?」

赤い瞳を少し伏せ、彼はそこにいた。
クセっ毛だが、深い黒をした彼の髪が揺れた。

「あ、待ってよ!!」

デイルは駆け出した。
ファングの歩みは速い。

「あれ、ホントに歩いてんのかよ!・・・追いつけねえっ」

足は歩いているが、スピードは走っているデイルにさらに差をつけるほど速い。

「待ってっ!ファング兄ちゃんっっ!!!!!」

ふわり、とした感触。
足元にぽっかり開いた黒い穴。

「うわあああっ!!!!」

落ちる、落ちる。
ただただ
落ちる、落ちる。




「ふわっ・・・!!」
「おい、どうした」

ガバッと勢いよく顔をあげればベッドの中。
見覚えのあるベッドではないが、声は聞き覚えがある。

「あ・・・サンジ」
「お前、飲みすぎ」

あ・・・と再び間の抜けた声を漏らし、デイルは思い出す。
否、思い出そうとする。

「あの・・・おれ、どうしたんだっけ?」
「はあ?」
「その、ゾロと一緒に飲んでみようとして、ジョッキ一杯飲み干したとこまでは覚えてんだけどさ・・・」

ハア・・・とため息をつくサンジ。
そんなに迷惑をかけてしまったのかと縮こまるデイル。

「その後酔っ払ってガブガブ酒飲んでパッタリ倒れやがったんだよ。ここまではマリモ野郎が運んできた」
「申し訳ありません・・・」

どんどん小さくなっていくデイルを見てサンジはぷっと吹き出す。

「な、何が面白いんだよっ!!」
「いや・・・いくら初めてでもジョッキ一杯で記憶とんじまうなんてな」
「うるせええええっ!!」
「てめえら、うるせえんだよっ!さっきからっ!!!」

先ほどまで別のベッドで寝息を立てていたゾロも、デイルの叫びで目が覚めてしまったようだ。

「ゾロ、悪かった。ありがとな」
「もうあんな飲むなよ」

そう一言残し、ゾロはまた夢の世界へ旅立った。

「で、ルフィとウソップは?」
「ここにある部屋は3人用が2部屋と2人用が1部屋しかないらしくてな」

サンジはタバコに火をつけ、深く吸い、煙を吐いた。

「ウソップとルフィは2人部屋で寝てる。そんでレディ達がもう1つの3人部屋で」
「ふーん。というか、おれとサンジとゾロで1部屋っていつもならしないよなー」

デイルが言うことは正しい。部屋が分かれる時はだいたい、デイルはルフィと同じ部屋。デイルとサンジとゾロが同じ部屋になることはめったに無い。

「お前が酒でつぶれるから悪いんだろうが!マリモはここまでつれてきたし、レディ達に酒に酔ったお前を介抱させるのも悪いだろう?」
「あー・・・そうでございますねえ」

夜は、ゆっくりと進む。