二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: -ONE PIECE- 月追う兎 \返信200突破!/ ( No.210 )
日時: 2011/02/27 22:21
名前: なまくら将汰 ◆yKq/Ct0zKs (ID: /gSTfiqf)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

[>Episode52

2人はカフェに入り、日当たりのいい席に座った。

「それにしても」
「ん?」
「デイルお前、母ちゃんにまた似てきたなあ・・・」

自分の弟の顔をまじまじと見て言うカシブ。
デイルはその言葉に少しムスッとしながら答えた。

「ふんっ。女みたいって言うんだろ?」
「そんなこと言ってねぇじゃん」
「だっておれ、アイツらに会ってから2回くらい女に間違われたんだぜ?」
「ぷはっ!!」

デイルはさらに口を尖らせ、笑うな!と怒った口調で言う。

「悪りぃ悪りぃ!なーんか久々に会ったらテンション上がっちまってさ」
「まあ、おれもめちゃくちゃ嬉しいけどね!!」

先ほどとは打って変わってまぶしい笑顔を向けるデイル。
それに答えるようにカシブも優しく微笑む。

「どれどれ、兄ちゃんがおごってやろうか。好きなもん食っていいぞ」
「ええ・・・でもさっき昼食って結構腹いっぱいなんだよな」

そういいつつもメニューをパラパラとめくり始める。

「じゃあココアでいいや」
「相変わらず甘いもの好きだな」
「兄ちゃんだってさっき菓子の店にいたじゃねーか」

ウェイターを呼び、ココアとコーヒーを注文し、改めて向き合う2人。

「で、今何してるわけ?」

先に口を開いたのはデイル。

「あー、おれ?今ね、海兵やってんの」
「はあ!?」
「ああ、別に気にすんな。お前を捕まえようなんてさすがに思わねえから」
「いやいや、そういう問題か?」

ヘラヘラと笑っている自分の兄を見て、懐かしいやら心配になるやらで複雑な心境になっていく。

「いまね、おれ中佐なんだー。すげぇだろ?“深海のカシブ”って通り名までついてんの!!」
「おれだって“飛び兎”っていう通り名があるぜ?」
「ププッ!兎!!かわいいねえ!」

ばかにすんなっ!と再び抗議するが、笑って流されてしまうため、デイルは反論をあきらめた。

「やっぱカシブ兄ちゃん変わらねえなあ」
「お前はちょっとりりしくなったよな」
「そう?」

それからデイルが今度は自分のこれまでの冒険についてありのまますっかりとカシブに伝えた。
それを兄の優しい眼差しで受け止めるカシブ。

「じゃあ今お前、麦わらのルフィと海賊狩りロロノア・ゾロと一緒にいんのかー。札付きが3人もいる海賊団は目ェつけられるから気をつけろよ?」
「うん!・・・それとさ」
「ん?」

デイルは先ほどとは違い、少し低めのトーンで話し始めた。

「ファング・・・兄ちゃんのこと・・・」
「!!!」

カシブは彼の口からその言葉が出てくることにかなり動揺したようだが、深く息を吸い、それから言った。

「ファングも、おれと一緒に来るはずだったんだけどな。一緒に行くぞって時に行方をくらませやがった」
「そっか」
「海賊になったと思うんだ。おれは」
「うん。そう思う」

ココアの甘い香りと、コーヒーのほろ苦い香りに包まれた2人は
ここに姿のない、もう1人の兄弟を思った。