二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: -ONE PIECE- 月追う兎 \返信200突破!/ ( No.219 )
- 日時: 2011/03/05 12:31
- 名前: なまくら将汰 ◆yKq/Ct0zKs (ID: /gSTfiqf)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
[>Episode54
「確か・・・この店だったな」
荷物をさらに増やしたサンジが、先ほどデイルがカシブと共に入っていったカフェの前に来ていた。
そろそろいい頃だろうと考えたサンジはドアをぐいっと押した。
≪ガッチャーンッ!!!!≫
「ん?」
店の奥から皿が割れるような音と、店の主人と思われる男の怒鳴り声が聞こえてきた。
「こらっ!何してる、新入り!!」
「だ、だって、石鹸で手が滑るんだよ!」
新入りと呼ばれた小柄な・・・男だろうか。
店の主人に食って掛かっていた。
だが、その声はサンジの耳に聞き覚えのある声。
「無銭飲食しといて皿まで割るとは!これは飲み物代の上に皿の弁償代もかさむなぁ!」
「げえっ・・・ココアとコーヒーじゃたいした値段じゃねえのに・・・っ!」
「何やってんだ、デイル」
厨房に行ってみると案の定、自分が先ほど別れ、兄とここでゆっくり話でもしているはずのデイルだった。
「サンジっ!!!!」
デイルは泡だらけの手のままサンジの袖をつかみ、サンジを盾にするように後ろに隠れた。
「あんたのツレかい?」
「まあ・・・そんなもんだ」
また何かやらかしたのだろうと思ったサンジはデイルの手を振り払い、言った。
「泡だらけの手で触んな!・・・で、何やらかした?」
「やらかしたなんて失礼な!」
機嫌を悪くしたデイルに、困り果てたサンジ。
「すみませんね。うちのツレが何したんですか?」
「無銭飲食だよ!海軍のカシブ中佐と一緒に入ってきて、カシブ中佐がいなくなった途端逃げ出そうとするから捕まえてやった」
「中佐・・・・・・?」
その単語に少し疑問を持ったが、取り合えずこの場を治めなければならない。
サンジはココアとコーヒー代と皿の弁償代を払い、嫌がるデイルの頭を無理やり下げ、自分も頭を下げ、何とか主人に許してもらった。
「カシブ兄ちゃんのせいだ!」
店から出るなり叫ぶデイル。
「それとお前がおれの小遣いまで持ってくから!!」
「お前がケーキ1ホール食うっていったんだろ?」
反論が出来なくなったデイルはあることに気付く。
「あれ?チップがいねえや」
「ああ・・・そうだな。途中までおれと一緒に来てたけどな」
しょうがないなあ・・・といいながらデイルは貝笛を吹いた。
すると遠くのほうから何かをくわえながらチップが走ってきた。
くわえているのは一枚のメモのようだった。
「チップ、何くわえてんだ?」
「ワウッ!!」
デイルはその紙を受け取り、そこに書いてあった文字を読み始めた。
「・・・っ!!」
「どうした、デイル」
「スバルからだ・・・“私はここであなたたちと別れなければならないかもしれません。どうか、心配しないで航海を続けてください”だって」
「どういうことだよ!!」
「わかんねえよ!!」
サンジが少し上がった息を整え、デイルに言った。
「取り合えず、メリー号に戻ったほうがよさそうだな」
「・・・うん」
2人の心の中のように、晴れ渡っていた空は黒い雲に覆われ始めていた。