二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第五話 ( No.14 )
- 日時: 2011/02/11 20:35
- 名前: ヘカテー ◆5VZ6lwsTJw (ID: OI3XxW7f)
しかし、安心感が包んだと言えど、状況が悪いのは変わらない。
氷タイプVS草タイプ。氷タイプに有効な炎や岩の技を持っていない限り、勝敗は見えているようなものだろう。
とにかく、一撃も食らわず、隙を見て少しずつ攻撃するしかないだろう。
「……つららばり!」
Nの出した命令は妥当だろう。
ただ一直線で放たれる一発の攻撃より連続で放たれる攻撃の方が当たる確率は格段に高い。
バニプッチは周囲の冷気を集め、自分の周りにいくつもの針を作りだすと、それを飛ばしてきた。
「ツタージャ! 避けるんだ!」
『!』
ツタージャはそれなりに素早さのあるポケモンだ。
針一本一本を見据え、慎重に避けていく。
最後の一本を紙一重で避けるのと僕が出した反撃の命令はほぼ同時だった。
「体当たり!」
ツタージャの身体全体での攻撃はバニプッチに直撃した。中程度のダメージ。だがバニプッチはまだまだ戦う力を残している。
そしてすぐに体制を整えたバニプッチは再びつららばりを指示したNに従い、またも複数の氷柱を作り出す。
先程よりも速度が上がり、ツタージャも避けてはいるが、辛そうな表情をしている。
氷柱の一発がツタージャの足に掠る。
一瞬、動きが鈍ったツタージャに氷柱が直撃する。
「ツタージャァ!!」
効果は抜群。非常に大きなダメージだ。
『……!』
しかし、まだ戦えない状態ではないようだ。ゆっくりと立ち上がりバニプッチを睨みつける。
「へぇ……中々の根性だね。だけど終わりだ! 冷凍ビーム!」
立ち上がるのがやっと、という感じのツタージャはこの攻撃はおそらく避けられないだろう。
どうする、考えろ、考えるんだ。
あの冷凍ビームが直撃する前にバニプッチを倒す方法。
若しくは、あの冷凍ビームごと相手に押し返せるような大技……
「……! あれだ!」
前に読んだ本に載っていた。ツタージャの得意とする技。
ポケモン図鑑で確認したところバニプッチのレベルはそう高くない。
これならあの冷凍ビームもきっと……
深く考える前に、僕はその技を命令していた。
氷の閃光が発射される。
「グラス……ミキサァー!」
二人の少年の戦いを見ている私はほぅと息を吐いた。
レパルダスが短く鳴き、その頭を撫でると嬉しそうにすり寄ってきた。
恐らく、いや、確実にあの二人は私達のもとまで来るだろう。
そんなことを考えながら手の中で転がしていたコインを投げる。
コインは回転しながら空高く浮き上がり、掌に帰ってくる。
表を上にキラリと光るコインを握りしめ、その場を後にする。
「敵同士の二つの心、あの二人がまさか……なんてね」
小さくつぶやいたその言葉は、誰にも聞こえなかっただろう。
氷の閃光はかなりのスピードでツタージャに接近していた。
ツタージャは最後の力を振り絞り、尾を回転させる。
すると尾が緑の渦を纏い始めた。
そして大きく目を見開き、ツタージャはその渦を発射した。
木の葉を巻き込みながら進んでいく渦は冷凍ビームとぶつかり、それを物ともせずに突き進む。
攻撃の最中だったバニプッチは避けられるはずもなく、その渦に飲み込まれた。
「……!」
渦の中でバニプッチはみるみる体力を奪われ、そのまま倒れた。
*
あとがき
もうオリジナルなんかばんばん入れてますw