二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ポケモン BWストーリー ( No.15 )
日時: 2011/03/09 21:01
名前: ヘカテー ◆5VZ6lwsTJw (ID: qU5F42BG)

「そんなことを言うポケモンがいるのか……!?」
驚愕の声を出すN。本当にポケモンの声が聞こえるのだろうか?
Nは静かに倒れたバニプッチをボールに戻す。

「モンスターボールに閉じ込められている限り、ポケモンは完全な存在にはなれない。僕はポケモンというトモダチのため、世界を変えねばならない……」
そういうとNはもう一つの——チョロネコのモンスターボールを取り出す。
そのボールのスイッチを押し——放たれるのは青い光……
出現したチョロネコは少しとまどい、Nのもとを離れ、どこかに走って行った。
「何で……逃がしたんだよ……?」
「……」
Nは僕のことをしばらく見つめた後、ふっと笑い、歩き出した。
「おい!」
僕はそれを追いかけようとしたが、Nの周りの空気が少し揺れたと思ったら、もうNはその場にはいなかった。
「……一体、何者なんだよ……」
良く考えたら彼、不可思議なことばかりだ。
彼の正体も分からない。今のような瞬間移動も。「N」という彼の名のったその名前も恐らく偽名だろう。
まぁ、今気にしても仕方ないだろう。僕は傷つき、戦闘不能直前といえるほど体力の減ったツタージャを抱きかかえ、ポケモンセンターに向かった。

 ふぁぁ……と大きく欠伸をし、私は立ち上がる。
ホテルを出て辺りを見回すと、一人の少年がツタージャを抱きかかえてポケモンセンターに走っていくのが見えた。
「あの子は……」
ふふんと微笑み、それから隣に居るムシャーナを見た。
「ま、良いわ。行きましょう、ムシャーナ」
『!』
ムシャーナは頷くとテレポートを発動する。
行き先? ……秘密、かしらね。

「……以上が貴方に課す任務です、分かりましたね?」
低い声が私の鼓膜を揺らす。
「……了解しました」
「任せましたよ。貴方なら簡単にできることでしょう」
「他に話がないのなら、失礼します」
「……待ちなさい」
「……何でしょうか? 私は貴方と無駄話をするほど暇ではないんですが?」
「ふっ、そろそろ貴方にこれを返そうと思いましてね」
「……」
「貴方の忠誠心は本物のようですからね。これを返しても問題はないでしょう」
「……受け取りましょう。私の切り札ですからね」
ボールを受け取り、その部屋を出る。
本物の忠誠心だと? 笑わせる。奴に絶対の忠誠を誓う者などいるわけがないだろう。
そもそも奴は地位は高いがこの組織——プラズマ団のボスでもない。
忠誠を誓ったところで得することはないだろう。
長い廊下を歩きながら先程渡されたボールを見る。
上半分は紫色のボール。
二か所にピンク色の円が描かれており、中央にはMの字が刻み込まれている。
そう、マスターボール。
これを使えば何人もの人間を八つ裂きにできるようなポケモンであろうと、伝説とよばれるポケモンであろうと、あるいは神であろうと捕獲することができる。
廊下を渡りきり、ドアを開けると眩しいほど明るい青空が広がっていた。そして持っていたそのボールのスイッチを入れる。
現れた緑色のポケモン。その眼は凄味を感じさせるどころか逆に恐ろしいとも言える。
「さぁ、行きましょう」
そのポケモンは私を背に乗せ、飛び立つ。
奴の好きにさせるわけにはいかない。そのために私は今ここにいる。
それが友の——アデクの頼みだから。
考えながら私は目的地、夢の跡地へ向かった。


フラグ建ての回