二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第二話 『N』 ( No.8 )
- 日時: 2010/12/23 21:13
- 名前: ヘカテー ◆5VZ6lwsTJw (ID: 1j9Ea2l5)
その青年は此方の視線に気づくとゆっくりと歩み寄ってきた。
ゲーチスと同じ緑の髪。黒と白の帽子を被ったその青年の視線はどこか冷たかった。
「キミのポケモン、今、話していたよね……」
「は?」
唐突に妙なことを言われ、僕は動揺を隠せない。
「ポケモンが、話していた?」
「……そうか、君にも聞こえないのか……かわいそうに。」
「あの……?」
「僕の名前はN。」
「あ、僕はトウヤ。アララギ博士に頼まれてポケモン図鑑完成の旅に出てる。と同時にリーグチャンピオンも目指している。」
今まで言っていなかったが僕の目標はポケモンリーグの頂点、すなわちチャンピオンになることだ。
イッシュ地方の各地で八人のジムリーダーを倒し八つのバッチを手に入れることで出場できる大会、イッシュリーグ。
それに優勝することでリーグに挑戦でき、四天王を全員倒すことでリーグの最高位に位置するイッシュ最強のトレーナー、アデクさんを倒すことが目標だ。
イッシュリーグ戦も四天王戦もチャンピオン戦もテレビ中継される。
僕も毎年見ているがそれはまさに凄いものだった。
去年のイッシュリーグ優勝者はエスパータイプの四天王、カトレアに敗れた。
カトレアは四天王の中では一番幼いが、実力は確か。使用するエスパータイプによって次々とポケモンが倒されていった。
二年前の優勝者は悪タイプの使い手、ギーマに敗れた。
カードやコインなどのゲームの達人だ。もちろんポケモンの実力も確かだ。
三年前の優勝者が敗れたのはゴーストタイプの使い手、シキミだ。
大人気の小説作家でもある彼女の使うポケモンは特殊攻撃力に極端に秀でたシャンデラを筆頭に強敵ばかりの手持ちだ。
四年前は格闘タイプの使い手、レンブによって優勝者の挑戦は終わった。
ポケモンと共に自分自身の心身を鍛えている彼の使うポケモンはとてつもない怪力を持っており、倒すのは非常に困難だ。
そして五年前。
その年の優勝者はかなりの実力者であり、四天王全員に勝利し、チャンピオン戦まで進んだ。
かなり年老いの男性で、名前もしっかり覚えている。
クルス。
ホウエン地方からクルスはその実力で勝ち進んできたが、それでもチャンピオンにはかなわなかった。
つまり、この五年間、新たなチャンピオンは出ていない。
僕の目標はそのチャンピオン、アデクさんを倒し、新たなチャンピオンになることだ。
「ポケモン図鑑……ね。」
その青年、Nの言葉で回想の世界から引き戻された。
「そのために幾多のポケモンをモンスターボールに閉じ込めるんだ。」
「!? ……Nはトレーナーじゃないのか?」
「僕もトレーナーだがいつも疑問でしかたない。ポケモンはそれでシアワセなのかってね。
さて、トウヤだったね。君のポケモンの声、もっと聞かせてもらおうか!」
Nはそういうとモンスターボールを取り出す。
「バトルしようよ。僕が持っているのは今二体。キミも二体。良いかな?」
「なんでバトルに行きつくか分からないんだけど、まぁ良いか。行け、ヨーテリー!」
「よし、僕に一体目はこの子だ。」
Nが出したポケモンはチョロネコ。
紫色の毛が特徴だ。
「ヨーテリー、体当たり!」
「チョロネコ、ひっかく!」
ヨーテリーとチョロネコはぶつかり合い、チョロネコはそのツメでヨーテリーにひっかく。
チョロネコはヨーテリーをひっかき続けるが、それを耐え続けたヨーテリーはチョロネコを空に投げ飛ばし、落ちてきたところに体をぶつける。
その攻撃が急所に当たり、チョロネコはそのまま倒れてしまった。
Nは黙ったまま、それをボールに戻す。
「やるじゃないか、なら、次はこの子だ。」
Nが次に出したポケモンは白色の小さなポケモン。
その姿は例えるならばアイスクリーム。
僕は図鑑を確認する。
「……バニプッチ」
「行くよ、僕のトモダチ……!」
*
あとがき
バニプッチもオリジナル。
ヨーテリーはともかくツタージャで勝てるのか怪しい件w