二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ハリー・ポッター】白と黒の鎮魂歌 ( No.11 )
- 日時: 2010/12/22 18:31
- 名前: リオ (ID: slitpE5G)
4話 「ダイアゴン横丁へようこそ」
ハグリッドはパブを通り抜け、壁に囲まれた小さな中庭にハリー達を連れ出した。ゴミ箱と雑草が二、三本生えているだけの庭だ。
ハグリッドはハリーとミカに向かって嬉しそうに言った。
「ほら、言った通りだろ? おまえさん達は有名だって。クィレル先生まで、おまえに会った時は震えてたじゃないか……もっとも、あの人はいっつも震えてるがな」
「あの人、いつも神経質なの?」
「ああ、そうだ。哀れなものよ。秀才なんだが、本を読んで研究しとった時はよかったんだが、一年間実地に経験をつむっちゅうことで休暇を取ってな……どうやら黒い森で吸血鬼に出会ったらしい。その上鬼婆といやーなことがあったらしい……それ以来じゃ、人が変わってしもうた。生徒を怖がるわ、自分の教えてる科目にもビクつくわ……さてと、俺の傘はどこかな。」
吸血鬼? 鬼婆? ハリーとミカは頭がクラクラした。ハグリッドはといえば、ゴミ箱の上の壁のレンガを数えている。
「三つ上がって……横に二つ……」
ブツブツ言っている。
「よしと。ハリー、ミカ、下がってろよ」
ハグリッドは傘の先で壁を三度叩いた。すると、叩いたレンガが震え、次にクネクネと揺れた。
そして真ん中に小さな穴が現れたかと思ったら、それはどんどん広がり、次の瞬間、目の前に、ハグリッドでさえ十分に通れるほどのアーチ型の入り口が出来た。その向こうには石畳の通りが曲がりくねって先が見えなくなるまで続いていた。
「ダイアゴン横丁へようこそ」
ハリーやミカが驚いているのを見て、アミはクスクスと、ハグリッドはニコーッと笑った。四人はアーチをくぐり抜けた。ハリーが急いで振り返ったときには、アーチは見る見る縮んで、固いレンガ壁に戻る所だった。
そばの見せの外に積み上げられた大なべに、陽の光がキラキラと反射している。上には看板がぶら下がっている。
『鍋屋—大小いろいろあります—銅、真鍮、錫、銀—自動かき混ぜ鍋—折り畳み式』
「一つ買わにゃならんが、まずは金を取ってこんとな」とハグリッドが言った。
目玉が後八つくらいほしい、とハリーは思った。色んなものを一度に見ようと、四方八方キョロキョロしながた横丁を歩いた。ミカは綺麗な水晶玉を売っている店に気を取られている。アミはスタスタと興味なさげに歩いている。
薬問屋の前で、小太りのおばさんが首を振りふり呟いていた。
「ドラゴンのきも、三十グラムが十七シックルですって。ばかばかしい……」
薄暗い店から、低い、静かなホーホーという鳴き声が聞こえてきた。
『イーロップのふくろう百貨店—森ふくろう、このはずく、めんふくろう、茶ふくろう、白ふくろう』
ハリーやミカ、アミと同い年ぐらいの男の子が数人、箒のショーウィンドウに鼻をくっつけて眺めている。
誰かが何かを言っているのが聞こえる。
「見ろよ、ニンバス2000新型だ……超高速だぜ」
マントの店、望遠鏡の店、ハリーやミカが見たことも無い不思議な銀の道具を売っている店もある。
「グリンゴッツだ」ハグリッドの声がした。
小さな店の立ち並ぶ中、ひときわ高くそびえる真っ白な建物だった。磨き上げられたブロンズの観音開きの扉の両脇に、真紅と金色の制服を着て立っているのは……