二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師*オリキャラ ( No.2 )
日時: 2010/12/22 14:06
名前: 翡翠 (ID: 6B38yoz9)

 #プロローグ#
 

 小さな頃、聞いたことがあった。

 『このみやこで、いちばんゆうしゅうな、
        おんみょうじはどこのいえ?』

 幼い私がそう聞くと、顔も覚えていない母は私に言った。

 『安倍家の陰陽師。
      それが都で一番腕の立つ者達だ』

 『あべ?』

 首を傾げて言う私の頭を母は撫で言った。

 『お前が、15にもなる頃にはわかるさ。時など、すぐに過ぎ行くのだから』

 『わたしがいちにんまえのおんみょうじになれたらあえるかな』

 『あぁ、必ず会えるさ。何か困った事が起きたら、安倍家に行くのだ。わかったか?』

 『うん!わかった。こまったら、あべけにいく!』

 幼い私が、そう言うと母は満足げに笑うのだった。

 それから、数年が過ぎ、私が10になった日、母は姿を消した。
 そして、私の中から母の姿が消えた。
それから、私は少しずつ変わった。独りが当たり前になって、笑う事がほとんど無くなった。


 あの時から、5年が過ぎて、私は優秀な陰陽師になった。それこそ、安陪晴明に並ぶほどに。

 だから、私は安倍家に行く事にした。

 末の孫であり、安倍晴明の後継者である安倍昌浩の下に。

 行けば何かが変わる気がした。

 以前のように、笑えて、母の事も思い出すような気がしたのだ。




 そうして、私は安倍家に滞在する事となる。

 そこで、己の秘密を知り、恋を知る事となるのだ。