二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師*琴萩皐月 ( No.23 )
日時: 2011/03/25 04:36
名前: 翡翠 (ID: Nco2fuPq)

*皐月*

昼食を済ませた私に十二神将天一が、部屋まで案内してくれた。

「ここを、お好きに使ってください」

頭を下げる天一にありがとう、とだけ返す。
その後、天一は姿を消した。

「ふぅ」

小さく息を吐き出す。
すると、足元にいた氷火が問いかけてきた。

「これからどうするつもりだ?」

氷火の問いに私は曖昧に答えた。

「わからない…だけど、何もしないままでいるつもりも無い」

私の返事を聞いた氷火は何かを言おうとして、この部屋に向かってくる足音に気がつきやめた。

「あ、ごめん。邪魔するつもりは無かったんだけど、じい様から伝言で、困ったことがあったらすぐに言うように、それから、好きなときにこの屋敷から出てもいいけど、夕餉の時までには帰るようだって」

昌浩の言葉を聞いた私は困惑していた。
今日押しかけるようにして此処に来た私にどうして此処まで気を使うのかがわからない。

「わかった…」

昌浩にそれだけ返す。
その後、昌浩はどこかに走っていった。

「皐月…?」

心配そうな氷火の頭を私は撫でて、少し、一人になりたいと告げ、部屋を出た。

部屋を出て、何となく庭の池を見て立ち尽くしていると、頭上から声が降ってきた。

「お前は…何でそんなとこにいるんだ?」

声の方を向くと、真っ白い毛並みが見える。

「あなたは確か…」

昌浩が呼んでいた名を思い出し口にする。

「…もっくん、だったかな?」

私がそう言うと、もっくんと言われた白い生き物は、屋根から飛び降りてきてこう言った。

「俺は物の怪と違う!」

あまりの大声で言うので逆に聞いてみる。

「それじゃぁ、何て呼べばいい?」

聞いてみるんだけど、もっくんは、もごもご言って答えてくれない。

「あーとにかく、俺は物の怪とは違うんだ!」

挙句の果てにはこんなことを言い出す。

「答えてくれないなら、やっぱり、もっくんと呼ぶことにする」

結局私はそう呼ばせてもらうことにした。
その時だ。
空気が変わったのは。

「これは!?」
「ちっ!」

私達は同時に気づく。
これは、妖気だ。それも弱いものではない。
呼吸をするのも苦しくなるような濃密な妖気。
そして、私に関係するかもしれない力。
そう、考えが及んだ時、私は妖気が一番濃いと思う所に向けて走り出していた。

「おい!ちょっと待て!!」

後ろからそんな言葉が聞こえたが私は止まるわけにはいかない。
だって、此処に来たのは…。
頭に一瞬よぎった言葉を無視して、私は走る速度を上げる。

向かうのは、朱雀大路だ。