二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師*琴萩皐月 ( No.9 )
日時: 2011/03/23 07:22
名前: 翡翠 (ID: 2fGMg0kq)

*皐月*

「晴明、客人を連れて来た」

漆黒の髪を持つ女性がそう言うと、

「中に入りなさい」

老人の穏やかな声が聞こえてくる。

「失礼します」

中に入り、一度頭を下げて口にする。
室内に入ると同時に案内してくれた女性が姿を消す。

「たしか、皐月殿でよかったかな?」

私が顔を上げると齢八十は超えるだろう老人が訪ねてくる。

「はい、この度は突然の来訪に了承していただきとても嬉しく思います」

そう言って再び頭を下げる。

「顔を上げなさい。今日からしばらくの間此処に住む
のですから敬語でなくともよいのですぞ」
「そう言う訳には…」

私が困惑していると、今までずっと黙っていた氷火が口を開く。

『…晴明殿だったな。これからしばらく皐月ともども世話になる、氷火だ。よろしく頼む』

狐の姿でそう言う氷火に目線を向けた晴明様が目を軽く見開いた。

「おや、この狐は皐月殿の式かな?」

晴明様の問いに私は答える。

「はい。この子は氷火。私の唯一の信頼できる相手です」

少し誇らしげに言う私を見て晴明様は笑顔で言う。

「そうですか、皐月殿がそう言うのであればそうなのでしょう」

そんなやり取りをしていた時だ。

「…晴明、昌浩を連れて来た」

突然晴明様の隣に、茶色の長い髪で鎧を来た長身の男性が現れる。

「六合、わかった。わざわざすまないのぅ」

晴明様がそう言うと男性は現れた時と同じように姿を消した。
その様子をじっと見ている私に気づいた晴明様は説明してくれた。

「驚かしてしまったかのぅ、今此処に現れたのは【十二神将】じゃよ」

十二神将。晴明様に仕える者達の事だ。

「はい、神気をまとっていたので、何となくでしたが
わかりました。私を案内してくれた人も神将ですね」

先程のことを思い出しながら口にする。

「勾陣の事じゃのぅ。彼女も神将じゃよ」

晴明様の答えに私は安堵する。
間違っていたらどうしようかと思っていたのだ。
私が深呼吸するのを見た晴明様は廊下のほうに向けて声をかけた。

「昌浩、入りなさい」

晴明様が声をかけてすぐに、先程の小柄な少年と白い生き物が、室内に入ってくる。
私は二人の姿を見て姿勢を正す。
おそらく本題は此処からだろうと私は直感で感じているのだった。