二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

■07 「Traveler and Traveler」 ( No.11 )
日時: 2011/03/17 09:20
名前: 朱音 (ID: JYHezvC8)


 ■07 「Traveler and Traveler」



 飛び散る砂塵、辺りに舞う煙、衝撃に吹き飛ばされるジタン。石造りの床に何かが激突したのだろうか。そしてバッツの姿が見えない。
 煙を吸い込んでしまったらしいジタンはなみだ目になり、ゲホゲホと咳をする。両手をぶんぶん振り回して煙を払うと、地面に倒れている人影がふたつ見えた。
 ひとつは見慣れたバッツの背中。そしてもうひとつは——

 「お、おい……バ……ッツ……?」

 「あ、あ……?」

 仰向けに倒れていたバッツが、自分の上に倒れている人を押しのけて立ち上がった。だがその身体はフラフラで、目の焦点すらまともに合ってない。

 「バッツ! 良かった。大丈夫か?」

 

 「あ、どうしたんだい母さん! こんなところまで……あ、それはボクの竹刀じゃないか! 母さん、ボクがトーキョーに出て行くって知って、持って来てくれたんだね……」



 「バアァァァァァァァァァッツ!!!」




 二分後。
 どうにか正気を取り戻したバッツとともに、ジタンはそれを見ていた。
 それ——上空から落ちてきた人、だ。
 明るい茶色の短髪にボロボロの同系色のマント、背格好、体格からして18から20歳ほどの男。白目をむいて気絶している彼は、まあ分かってもらえてるだろう。リオである。

 「ジタン、こいつ、誰だ?」

 「さあ……俺達は見たことないから、カオスの奴かも知れないな」

 ジタンは警戒態勢に入る。

 「ふーん……あ、こんなところに……」

 バッツが発見したのは、リオの額に出来たたんこぶだった。興味津々、といったようすでリオに近づいたバッツは、そのたんこぶをボタンか何かのように押す。すると、リオがうわ言のように「いだっ」と反応した。

 「おお! スイッチか、これ」

 少年のように瞳を輝かせたバッツは、そのたんこぶを連続で押す。そのたびにリオは「いだっ」「あだっ」と呟く。
 バッツは決して悪意があってやっているわけではない。「無慈悲に」押しているのではなく「無邪気に」遊んでいるだけなのはジタンも十分承知だ。そして被害にあっている当の本人は痛みを与えられながらもまだ気絶している。こんなことならこいつを起こすためにも放っておいた方がいいんじゃないかと判断した聡明な(?)ジタンは、体育座りをしてバッツとリオを眺めていた。

 「あ、そうだ。ポーションあったんだ」

 バッツは懐からポーションを取り出す。「あったんかい!」というジタンの見事なツッコミを華麗に受け流し、バッツはそれを容赦なくリオにぶっかけた。