二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第一章 ■01 「First Movement」 ( No.2 )
- 日時: 2011/03/16 15:40
- 名前: 朱音 (ID: JYHezvC8)
第一章 —「Something From the Sky」—
■01 「First Movement」
紫色に渦巻く雲、そこから時折聞こえてくる雷鳴。ボロボロに崩れた柱は、かつての面影を全く残していなかった。
過去のカオス神殿。そこに、闇の軍勢が集っていた。
「時が来れば、全て実る」
神殿の内部、玉座に程近い場所で、時を操る魔女——アルティミシアが言う。自信に満ちた表情が、彼女の高慢さを物語っていた。
それを聞いている者の表情は様々だ。興味がありそうな者もいれば、全くどうでもいいといった表情の者もいる。さすがは「混沌」の戦士達。まとまりの無さには定評がある。
「究極の死闘——いだっ、誰ですか石を投げたのは!」
石を投げた張本人は目の前にいるが、話に夢中になっていた本人は気づかないようだ。ふよふよと宙に浮いていた露出度の高いお姉さん——暗闇の雲が、これまた本人にばれないように横を向いてくすくす笑う。
「そして、完全なる終え……あだっ、おい、貴様今投げたな? 今投げたな?」
アルティミシアと同じく壇上で喋っていた男性——皇帝が額に青筋を浮かべて目の前にいる極彩色の男にメンチを切る。
当の本人——ケフカは、涼しげな顔で目をそらす。皇帝は杖を構えて魔法を放とうとしたところをアルティミシアに止められ、ふーこーふーこー荒い息を吐きながらもなんとか冷静になる。そしてまた正面に向き直り、
「掴めぬ物があるとすれば——あでっ、貴様、また投げたな? 今また投げたな!?」
さすがにキレたのか、皇帝は杖も持たずにケフカに掴みかかる。それにケフカも応戦。周りのメンバーは「また始まった……」とでも言うかのように頭を抱えた。
「どれだけ人をおちょくれば気がすむのだ貴様は! っていうかこの前私の椅子にブーブークッションを仕掛けただろう! あれのせいで何人に誤解されたと思っているのだ!!」
「引っかかる方が悪いんですぅー。ひたっ、ほっへたひっはんなほのかふきひゃくひゃ!!」
「誰が市川海老蔵だ!!」
「はいナルシスト発見ん! っていうか時事ネタっていいの!?」
この二人の相性は非常に悪く(イタズラ好きと短気)、一緒にすれば必ずといっていいほど喧嘩になる。そしてそれは誰かが止めるまで絶対に止まらないのだが、喧嘩の仲裁をするほど人のいい奴は、元が「破壊大好き!」なカオスメンバーにはいない(ゴル兄さんは別だが)のであって。
はぁ、とアルティミシアがため息をつく。
来たる闘争のためにも結託しなければならないのに、こいつらは一向にそんな気配を見せない。まとまらないからこそ「混沌」なのだろうが、この状況ではそんな悠長なことも言ってはいられない。
だが、止めようとしないのがカオスクオリティーというもの。
「大体アナタの存在自体が間違い………ん?」
皇帝の鼻をまるでピノキオのように引っ張っていたケフカの手が、不意に止まった。尖った耳がかすかに動く。
「…………何か、聞こえませんか?」
「いえ、特に何も………」
………ぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ
「!! やば——
ドゴォォォォォォォォォン!!!
さっきまでケフカがいたところが、突如凄まじい轟音とともに砂塵に覆われた。難を逃れた皇帝は、「な、何が起きたのだ、一体!!」と、普段では考えられないほどテンパっていた。まるで周りにに「あわあわ」とでも効果音が出そうなほどだ。
「…………人、かい?」
銀髪の青年——クジャが、手で煙を払う。徐々に煙が晴れ、ケフカの極彩色の服が見え出した。その上にうっすら、茶色の物が見え隠れする。
ケフカの上に乗っかっていたそれは、うつ伏せに倒れた人だった。背格好から察するに20歳かそれより若いぐらいの歳。体格は男だった。
「………誰だ、こやつは」
「降ってきましたね………空から」
「コスモス側の戦士かな? でもそれなら何で空から………」
「…………わしは知らんぞ」
「誰か一人でもいいからぼくちんを助けようとする奴いないの!?」
どうやら気絶はしていなかったらしいケフカが、青年の下敷きになりながらも怒鳴る。よく見るとその下の地面にはヒビが入っていたことから考えると、青年はよっぽど高いところから落ちてきたのだろう。
ケフカは青年を押しのけて立ち上がり、服のホコリをぱんぱんと掃う。それからまた青年に向き直り、
「………誰?」
たまたま横にいた鎧——エクスデスに聞く。当の先生は「無」言。
「……とりあえず、話を聞きますか。誰かポーションとか持ってます?」