二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- ■04 「Melancholic Boy」 ( No.8 )
- 日時: 2011/03/16 15:51
- 名前: 朱音 (ID: JYHezvC8)
■04 「Melancholic Boy」
「………え? 今戦争中? ………マジか」
「そうだ。神々の闘争——とでも言った所か」
神殿上部から内部へと戻ってきたカオス勢。リオはゴルベーザに今のこの世界の現状を聞き、愕然とする。
おーのー、とリオは大袈裟に頭を抱え、
「無理です、戦争とかマジで無理なんです。もう神様ら皆仲良うなってお花畑でフィーバー! 的なカンジんなれへん?」
「なるかそんな馬鹿みたいに平和ボケした世界! 何故花畑なのだ!」
「じゃあお花畑でフォーエバー」
「永遠に花畑で遊んでろ貴様は」
皇帝の怒りのボルテージがじりじりと上がっていく。だが、そんな空気などこれっぽっちも読めないリオは、そんなのお構いなし、とでもいう風に喋り続ける。
「ええやん、人なんかみんなそれぞれ違うんやし、必ずしも分かり合う必要なんかないわけやん。せやのに皆俺の言うこと聞けーとかばっか言うから戦争なんか起こんねんで……。ああもう俺こんな空気イヤや。花畑いきたい。花畑………」
リオは自分の言いたいことを勝手に言い、一人で落ち込みだした。体育座りをして壁の方を向き、背中から「もう話しかけんといて」オーラを出す。
こいつ、うぜぇ……メンバー皆がそう思い出したとき、ケフカがぴょこぴょことリオに近づき、その背中をぽん、と叩いた。
「戦争、終わらせたいんですか?」
「……………俺に終わらせれる程度の戦争やったら、もうとっくに終わっとるやろ。………出来へんから落ち込んでんねんで俺は…………」
リオは自分の膝に顔をうずめて、
「しかも今回は神様の戦いやろ? ……俺みたいなんが手ェ出せる領域とっくに越えてんやん………」
「そんなことないですよー」
ケフカはまたリオの背中をぽんぽんと叩いて、
「この戦争はですねぇ、「神々の闘争」って言うぎょーぎょーしー名前ついてますけど、戦ってるのはぼく等と同じ人間なんです。人数はこっちもあっちも10人。向こうには子供もいますからねぇ」
「………なんで、戦争やのに子供戦ってんの? 神様って非情やなあ………。それだったら俺はなおさら手ェ出せれへんやん……」
膝にうずめられていたリオの顔が、ケフカの方に向き直る。ケフカの顔には、子供のような笑みが貼り付いていた。
「僕らは世界を護る側、あっちは世界を滅ぼす側です。あいつらが求めてるのは力——クリスタル。「神の欠片」、クリスタルがあいつらの手に渡れば、この世界は消える………ぼくたちはそれを防ぐために動いてるんですよ〜」
「クリスタル……が向こうのモンになったら………世界が滅びる…………」
顎に手を当て、リオは考える。その様子を、ケフカはにこにこと笑いながら見つめていた。
——全ては自分で思いついてやったこと、そうなるように仕向けているのだ。
その様子を見ていたガーランドは、ケフカの狡猾さに舌を巻いた。ケフカはあくまでも「行動を起こしたのはリオ自身」と言い切るだろう。全てを知ったリオがどれだけ逆上しても、そう考えたのは彼自身なのだから。
「………クリスタルを壊せばエエんとちゃうん? したら、あちらさんも何も出来んようになる……」
「おぉ! そんな手がありましたか……! ………ああ、でも、駄目だ…………」
ケフカの顔は一瞬明るくなり、すぐに沈んだ表情になる。男優さながらの名演技。リオは完全に騙されていた。
「え!? 何で!?」
「………ぼく等は所詮神々の戦士。「神の欠片」を破壊する程の力は持ち合わせてないんですよ…………」
その顔には本当に絶望の色が浮かんでいるようだった。リオは心配そうにその顔を覗き込み、またすぐに下を向く。しばしの沈黙の後、急にリオが立ち上がった。
「せや!」
「…………どうしたんですか?」
「俺がそれ壊してきたるわ! 俺はこの戦争に何も関係ないんやし、人傷つけらんでエエんやったら何でもやれるしな!」
「………本当に、いいんですかぁ?」
誰にも見えないくらい小さく、ケフカは笑った。
その顔は狂喜に満ち溢れていた。