二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 緋色の欠片 ______時を超える想い______ ( No.2 )
日時: 2010/12/25 13:17
名前: 蒼響 (ID: e22GBZXR)

第一章【出会い】
第一話____________舞い散る緋色の葉

青く澄み渡る空と緋色の欠片のように空を舞う紅葉。
それらが重なり合い、一枚の絵のように見える。彼女はその光景を、ただぼんやりと見つめていた。
空からはあたたかい光が零れ落ち、心までもをそのぬくもりで満たしてくれる。
そんな温和な空間で静まっていたカミが、突如としてざわつき始めた。

「何事_______________?」

少女は辺りを見渡し、様子を窺う。
そこに、甲高い女性の声が響き渡る。

「玉依姫様!!」

あまりに大きな声に一瞬驚いたが、見慣れた少女の顔を見て、安心して息を吐いた。

「言蔵________何かあったのですか?」

言蔵と呼ばれた少女は酷く焦っていて、諭すように尋ねてみる。
玉依姫のその冷静な瞳を見つめてから、少し早目の口調で話しだす。

「カミがざわつく程の大きな力をもった者が、先ほど私のつくった結界を破ってこの地に入ってきたようなのです」

「その者は今どこに___________?」

「あの深い森の中にいるようです。力もほとんど尽きかけている……封印の力にでも惹かれたのでしょうか?」

玉依姫は何かを考えるように静かに視線を落としてから、もう一度言蔵を見る。

「貴女は戻って、皆(みな)にこの事を知らせてください。クウソノミコトやコドノマエにも。彼らの力も必要になるやも知れませんから__________」

そう言って、玉依姫は力の方へ歩いていこうとする。

「姫様!?一人でお行かれになるのですか!?ならば私も一緒に_________」

「言蔵」

姫の静かな声が、言蔵の耳に届く。
優しい表情で、彼女を見つめていた。

「ありがとう、心配してくれて。でも大丈夫です。だから貴女は早く__________」

言蔵は何かを言いかけて、静かに目を伏せ、頷いた。

「お気をつけて、姫様______________」

玉依姫は言蔵に笑顔を向け、林の中へと消えていった。