二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン 私と世界の仲間達2 ( No.275 )
日時: 2011/05/01 13:41
名前: 薔薇結晶 (ID: Y8mt6fGX)
参照: http://blogs.yahoo.co.jp/gran_fenrir/MYBLOG/yblog.html

第87話 「君とは帰らない」








♪〜〜♪〜♪〜〜♪♪〜


「!」

ディラン「………さすが、ジュリアの演奏には敏感だねぇ。マーク。」
マーク「…何処で弾いてるのかは分からないけどな。」

夜7時過ぎ。夕食の後だ。
その為、殆どのメンバーが食堂に居る。

ショーン「…何か聞こえるんですか?」
スティーブ「ジュリアが何かやってるみたいだけど。」
ディラン「ヴァイオリンを弾いてるんだよ。」

ミーシャ「…そうなの?」
マーク「聞こえないのか?」
ミーシャ「うん。」
マーク「…探してみるか。」






——あぁ…

———此処での生活も、もうあと3日で終わるのね…。

—世界は広いから…

————サクラ…フィディオ…

——エドガー…テレス…


キュッ、と、急に演奏をやめるジュリア。
すうっと、息を吸って、別の曲に変えた。

管弦楽組曲第3番『G線上のアリア』。

彼らが居る前で初めて弾いた、あの曲に変えた。
彼女にとっては何よりも思い出深い曲だった。


——此処を離れたら、何時彼らに会えるかしらね…?

———ディラン、マリ、ミーシャ…

—マーク…。


————ごめんなさいね…。


ヴァイオリンの演奏をやめて、座り込んだ。

彼女が居るのは宿舎ではあるが、宿舎の中ではない。
宿舎の上、つまり屋根の上だった。

そして、ヴァイオリンケースの中にある1枚の紙切れを手に取った。
だがそれは普通の紙切れではなく、文字が、数字が書かれていた。

飛行機のチケットだった。
だが、そのチケットに書いてある行先は、アメリカではなかった。
アメリカでもなく、イギリスでもなく、日本でもなかった。
それはドイツ行だった。

ジュリア「どうしても、貴方達と戦ってみたいから…。来年は敵として…、戦ってみたい…!」

来年はどうにか優峰財閥の力を駆使してFFIを開催する気で居るらしい。
だからこそ、彼女はアメリカではなく、ドイツに帰るのだ。




「ジュリアーっ?」

「ジュリアー!」

ジュリア「えっ…?」

彼女は彼らが自分を探しているとは知らなかったようだ。
何せ、ケータイを持って来ていない。

ジュリア「そろそろ、戻らないといけないわねっ。」

チケットをヴァイオリンケースの底の方に隠し、ケースを閉じた。
そして、ケースを片手に持って、部屋に滑り込むようにして窓から入った。


ジュリア「連絡を入れておきましょうか。」

カチカチとパソコンで簡素なメッセージを打つ。
そして、アドレスをコピーして送信した。






♪〜

マーク「!」
ディラン「メールかい?」
マーク「あぁ、ジュリアかららしい。」

ケータイを開いて、メッセージを確認して、薄ら笑った。
ディランがメールの内容を覗くと、『部屋に居るわよ、騎士(ナイト)さん。』と、短い文だった。


ディラン「部屋に居るみたいだね。」
マーク「さっきノックしても居なかったんだけどな。アドレスからしてパソコンの物だから今は居るだろ。」

のんびりとした歩調で彼らも宿舎に帰った。







第87話 終わり