二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン 私と世界の仲間達2 ( No.558 )
- 日時: 2012/03/11 18:18
- 名前: さくら (ID: te9LMWl4)
- 参照: 連レス御免!卒業短プレ載せに来た!((帰れ
「嗚呼、卒業しちゃったなぁ、」
そう呟いて、隣に居た先輩が笑った。
瞬間、俺の中の奥底で静かに眠っていた何かが咲いた。
+
「南沢さん、私立行くんすよね」
「ああ。サッカーの名門だそうだ」
「でも流石っつうか、何つうか。南沢さん上手いですもんね」
「まぁな」
「否其処は否定しろよ」
「は?」
雷門中学3年の南沢さんは、雷門サッカー部1軍のエースストライカーだ。エースなだけあって、やはりサッカーは上手い。
だが、何かと内申を気にする面倒な人でもある。こんな事をあの人の目の前で言えば命が危ういが。
因みに俺は同じ雷門サッカー部1軍のFWだ。元々から運動神経が良かった俺は、大好きなサッカーで転がる様に一軍に仲間入りをした。
南沢さんとはその時に出会ったんだ。“ソニックショット”とネーセンはダサく、強そうな感じがしない南沢さんの必殺シュートは、数々のゴールに打ちつけられている。
紫色の髪を爽やかに靡かせ妖しく笑う度に外からの黄色い完成が絶え止まない。神童と良い勝負だ。
同じFW同士、気が合った。先輩の中で一番仲が良いと言えば一番に南沢さんの名前が思い浮かぶ。
「本当に、卒業したんですね」
そんな南沢さんは、今日此の学校を卒業した。
此れから何時も通りに此の人とサッカー出来なくなるのは辛い。だがもう南沢さんとは今みたいに会って話す機会も無くなる。
所詮俺と南沢さんは部活仲間だ。同い年でも無ければ幼馴染などでもない。只の、部活仲間だ。言い換えれば只の先輩後輩だ。
そりゃあ南沢さんと会えないのは辛い。一緒にサッカー出来なくなるのは辛い。
だが泣けない。泣いて「行かないでくれ」なんて頼めるはずも無い。そんな女々しい事、男の俺がするなんて、恥ずかし過ぎる。BLかっての。って此れ、BLじゃんか。
「おい。倉間お前、俺と会えなくなって寂しいだろ」
「は?寝言は寝て言って下さいよ」
本当、最強コマシ男だ。此の歩く18禁男め。
ってかもう南沢さんの存在自体がエロいんだ。何だよ紫髪って。明らかに妖しいじゃないか。
それに南沢さんはその艶のある声で変な口説き文句を並べて来る。黄色い声を出す女子もそんな時だけは顔を真っ赤にして俯くんだ。
あーもうイライラして来た。何だよこの感情、俺らしくも無い。
寂しい訳が無い。こんな事でわーわー泣いてたら女々し過ぎて恥ずかしいの域を超えてる。神童じゃあるまいし、此れ位で寂しいなんて思ってない。
だがサッカー出来なくなるのは嫌だ。此れは寂しいに分類されるのだろうか。俺は他の誰でもない、南沢さんとサッカーがしたい。
俺は外見はツンツンしている様だが、今の俺の中身はその動揺や恥ずかしさ、辛さ、高ぶる感情を押さえ込むので精一杯だ。
南沢さんは案外鋭い人だから、悟られない様に気をつけないと。
「俺は、嫌だな」
「え?」思わず間抜けな声が出た。此れは声と言えるのか判らんが。
南沢さんの急なカミングアウトに俺の脳ミソは着いていけない。
「俺は、お前と別れるのが嫌だな。お前が居ないと思うと、寂しい」
本当に如何しちゃったのか此の人は。卒業という意味に着いていけていないのか。押さえつけてバットで殴れば正気に戻るだろうか。
だが何時もの妖しくへらへら笑った表情とは遠く懸け離れた真面目な趣で此方を凝視してくるものだから、一回ゴクりと唾を飲み込んだ。
「お前とサッカーが出来なくなるから、そういう意味じゃない。お前の全てが、寂しい」
傍から見れば凄く口説き文句を言っているように見えるが、今はそれどころじゃない。
凄く、物凄く心臓がバクバクオーバーヒートして止まってくれないのだ。
…あ、でも完全に止まってしまっても困るが。
バクバク、バクバク、
心臓が痙攣を起こしたかの様に上下に激しく揺れ動く。
俺の頬は既に紅潮しているだろう。そんなの自分でも判る位だ。多分、予想以上に紅くなっているに違い無い。恥ずかしい、そう思うともっと紅潮する頬が伺えた。
南沢さん、ついに男にまで手を出すようになったのか?それとも元々ゲイだったのか。どちらにしろ、俺の心臓は落ち着く事を知らない。
「お前だって、そうだろ?」
急に覗かれた俺の左目。前髪をそっと手で掬われ、俺の左目が露わになる。
左目の下の頬は、これまた凄く紅潮していただろう。
その証拠に、
「だってお前、顔真っ赤。」
こういう南沢さんの証言があるのだから。
「え、俺が?南沢さんの事を?」
「ああ。らしいな」
「らしいなって。でも待って下さい。俺男っすよ?ゲイじゃないはずです」
「恋愛に性別なんて無いだろう」
「大有りな上に、此れ恋愛だったんすか」
でもその時の俺は、自分の気持ちに気付いていない事さえも、気付いていなかった。
まさか、失ってからそのモノの大切さに気がつくなんて、どんな理不尽な話だ。大好きだった南沢さん。そんな南沢さんに対する俺の感情が、何という名なのかは、俺だけの秘密だ。
+
「来年は俺、南沢さんと同じ高校行こうかな」
少し今の俺の頭では難しい所だが、何とかなると思う。
南沢さんと同じ高校受けて、もし受かったら一緒にサッカーでもしようか。
俺は最後まで、泣かなかった。
(( ハッピーエンドはまだこの先 ))
240310
今日卒業式だった。
りむう@薔薇結晶に捧げます。一日遅れたけど御免ね。卒業おめでとう。
卒業企画だよー!!
南倉です。BLで御免よ。最近南倉にハマってるんだ(((
りむう以外無断転勤禁物です。