二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン 私と世界の仲間達2 ( No.560 )
日時: 2012/03/16 11:30
名前: りむう@薔薇結晶 (ID: vyKJVQf5)
参照: http://bluerosebreak.blog.fc2.com/

第33話 「女王の意図」






「準備は出来たわ、ジュレール・ブルーローズ」

アメリカのとある公園の一角。
グラウンドがひとつ。

  「…ご苦労様。……叩き潰しなさい、メアリー」


はためく星条旗の元で、1輪の蒼い薔薇は姿を晦ました。
桃色の薔薇達は、風に花弁を攫われながら、彼らを待つ。









「アメリカ?」

円堂が自らの祖父に尋ねる。
それに円堂大介が応える。

「そうじゃ。襲撃が既に3件ほど起きている」
「3件も…」

「それは全て、『桃色の催眠術師(ピンカースリープ)』によるものだ」

「…メアリーか…」
「彼女だけじゃない、サクラだっているし、ターニャだっている」


『リトル・クラウン』の専用機内で様々な憶測が飛び交う。


「着いたらウォーミングアップの後すぐ試合になるだろう。万全な体制で試合に臨めるように、体調管理に気を付けろ」

シャルソンの一言で、選手の目的が決まった。

 —————“『桃色の催眠術師』に勝つ事”だ。




























ガチャッ…

飛行機の扉が開き、アメリカの空気を吸う『リトル・クラウン』。
そして、周囲の異変にはすぐに気が付いた。

「…空港の係員が誰1人居ない…」
「本当だ…」

「既にこの町は襲撃を受けて、…敗北している」

シャルソン監督が低いトーンでそう言った。
ざわつく機内。頭をよぎる不安。


「大丈夫だ!俺達が勝てばいい!!」

円堂が大きな声でそう言った。
それを聞き、選手は全員頷いた。


いざ、決戦へ。













「どうしてアメリカを襲おうと?」

蒼い薔薇が咲き乱れるこの地に、異色の薔薇が咲いていた。
その色は、蒼より紅い、紫。

「スカーレット。…そんなことを聞いて何になるのかしら」
「アタシの中にある疑問が1つ晴らされる」
「そんな事だけ?」
「あぁ、そんな事だけさ」

あっさり『紫の悪魔(ヴァイオレットデビル)』のキャプテン、スカーレットが答えてみせると、渋々『蒼の天使(ブルーエンジェル)』のキャプテン、ジュレールは答えて見せた。


「……アメリカに、もう反乱出来るようなプレーヤーは居ない」
「それは世界各国同じだろ?」
「そうね」
「だったら…どうして」
「……、はっきり言ってしまえば」


   「私にとって、アメリカに利用価値は無いと思ったから」


普段からは考えられない様な声のトーンで、はっきりとそう答えた。
それを聴いてスカーレットは。


「…どっちかって言うと、アタシよりアンタの方が充分悪魔だろ…」
「そうかもね。……そう思われても仕方ないわ」


「あと、」

と、付け足す様にスカーレットが切り出した。


「何であのお姫様を連れ込んだのかも教えてもらいたいね」

「あぁ…、それ私のチームのメンバーからも言われるわ」
「え、…同じ天使の中でも聞かれてんのかよ?」

聞かれた質問に飽きれた様に返すジュレール。
その反応を見て意外そうな顔でスカーレットが聞き返す。

「で、何で引き込んだ?」
「…考えても見なさい。私は2年前に死んでるのよ?その私が眼の前に居たら、貴女どう思う?」
「つまり…お前心理作戦で引き込んだって事か?」
「それに彼女は世界で指折りのプレーヤーのプレーを間近で見続けてきた。ボールにも触れてきた。しかもサッカーセンスもあるのよ?それに『桃色の催眠術師』はどうもはっきりしないチームだったけど、彼女が入った事によって、どうにもならなかった弱さが消えた」

淡々と説明をするジュレール。
それを聞きながら、大体彼女の意図が読めてきたスカーレット。

「『桃色の催眠術師』を変えた桜吹雪ねェ…、そんな作用があったとは」
「そしてやはり彼女のプレーは見続けてきたあるプレーヤーのものに徐々に近づいてる。スピードは流石に彼程は無いけれどね」
「『白い流星』か…」
「その通り。それに彼を惑わし、プレーに集中させなくするトリガーになる」


「もしかしたら『黄色の姫君』すら超すかもしれないわ。彼女1人だけでもね……!」

ニヤリと笑みを浮かべると、軈て世界にすら響きそうな大きな笑い声に変わっていった————————






第33話 終わり