二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン 私と世界の仲間達2 ( No.577 )
日時: 2012/04/30 19:01
名前: りむう@薔薇結晶 (ID: 607ksQop)

第34話 「思い深き廃墟」








アメリカのとある州のとある公園の入り口。

「恐らくこの周辺だろうと思うんだが…」

『リトル・クラウン』副監督、ダニエル・シャルソン。
彼の言葉を聞くと、選手一同はキョロキョロと辺りを見回す。

「大体見当はつくな」

「だね」


そう言って歩き出したのは紛れもなくこの2人。
元ユニコーンのマークとディランである。


「本当か?マーク」


円堂がマークに聞く。
彼は振り返ると、何処か寂しそうな表情で語りだす。

「この公園は…小さい頃によく来ていたんだ。俺もディランも、…メアリーやカズヤもな」

「一之瀬も…!?」


円堂は驚いた表情で一之瀬の方を見た。


「…あぁ。……よく親の目を盗んで来てたよ。一回だけ、秋と土門も連れてきたことある」

「うん、よく覚えてるよ。あの後散々怒られたもんね」

「確か奥の方に門が……」


そこで思い出す土門。秋も気づいたらしい。
『奥の方の門』。


「…確かその門って…」

「あぁ…。…行こう」



彼らが先導し、その『奥の方の門』を目指した。






















暫く歩き、森の奥のとある一角に辿り着いた。
そこにある光景を見て、一同はマーク達の言っていた事が分かった。


「これは……!!」


それは大きな屋敷が廃墟と化した場所だった。
その入り口は大きな門により閉ざされていた。

大量の桃色の薔薇が巻き付いた門によって。



「この薔薇は『桃色の催眠術師』が咲かせた薔薇じゃないのか?」


と、フィディオが彼らに問うた。
すると彼らは全員首を横に振った。


「…全部品種の名前はある。この薄いピンクの薔薇は日本製の薔薇だったはずだ。確か名前は…」



       「羽衣。剣弁高芯咲きのクライミングローズだよ、マーク」



彼らの斜め後ろ、上方からの声。
何処か聞き覚えのあるその声は、間違いなく『彼女』の声である。


「メアリーか…」

「御無沙汰ね」



森に生えている樹の枝に座りながら一輪、薔薇の花の香りを楽しんでいる彼女。
『桃色の催眠術師』の主将、メアリー・ピンクローズ事メアリー・ウィングスである。


「この薔薇はアメリカ生まれの丸弁平咲きのハイブリット・ティー系、その名もクイーンエリザベス」


穏やかな笑みを浮かべながら、自らの体の重心を前に傾け、樹から落ちてくる。
だが、助ける必要など皆無。くるりと宙で1回転すると、音もなく着地した。
そしてまた音もなく歩き出すと、門の前に立ち、軽く押し、音を立てながら門を開く。


「…じゃぁ、堕落し切ったこの廃墟でティータイムと行きましょうか?


             その冠、私が粉々にしてあげる ———————— !」






第34話 終わり