二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 小さく、咲き誇る。(デュラララ!!) ( No.11 )
- 日時: 2010/12/30 10:30
- 名前: てと (ID: slitpE5G)
No.07 「それが偽善だと気付かないままに」
「セルティの首、かああ……」
美加はため息混じりに呟いた。
本当は良いなあ、綺麗だなあ、なんて思っているのだがそんなことを言えば亜美に叩かれるだろうと思ったからだ。
「…興味深いね」
「へ、?」
亜美が呟いた言葉に美加が驚いたような表情を浮べる。
あれほど人間にしか興味の無い亜美が!? と。
「ああ、うん。俺は人間が好きだよ? 愛してくれる限りね。けど、静雄やセルティは人外して好きなんだよ。俺を見てくれる、愛してくれる人外」
「へ、へえ…」
亜美の言っていることに苦笑を浮べつつ美加は相槌をうつ。
どう反応すれば良いのかわからないからだ。
その時、病室の扉が盛大に開かれた。
「亜美!!!!」
「アヤ、病院では静かにしないといけないんだよ?」
大声で自分の名を呼ぶ彩音に亜美が淡々と答える。
友人が来たことに、喜ぶわけでも、騒いだことを咎めるように怒っているわけでもない、無関心な声で。
「ごめん。…大丈夫なの?」
「一ヶ月も入院すれば退院できるし、その内学校にはいけるさ」
「それなら良いんだけど」
会話をしながら美加は今頃ハッとした。
「彩音、学校ーー!」
「あ゛ーーーー!!!!!」
美加が大声で言うと、彩音は大声(叫び声)をあげて病室を出て行った。
それを見送りつつ亜美は口角を吊り上げる。
「…ほんと、良かったけどね」
「ありがと。お姉様も一杯いっぱいなのに有難うね? いざ兄との関係もギクシャクだし」
「大丈夫だから」
ふふ、と何かを企んだような笑みを見せる亜美と純粋に喜ぶ美加。
「俺は、…お姉様の味方だからね」
「あ、りがと、…!」
吐き出された偽善の言葉。亜美は自身でも下らないと思う。
しかし、美加は真に受けた。信じている、亜美の事を。
そのまま、美加を慰める言葉を吐き出して、帰るときまで笑顔を崩さぬ亜美。
美加が帰った後、亜美はただ嗤い続けた。
「ふ、あは、っははっは! 下らないよ、お姉様? こんなのにも引っかかるなんてね。俺はいざ兄の味方だ、お姉様なんて愛せないんだよ。俺を愛してくれても、唯一愛せない人間なんだよ」
その姿を病室の外から見ていた臨也はニヤリと笑みを浮かべた。
そうだ、そのまま狂い続けてくれて良い。
もっともっともっと、歪めば良い。
そうすれば、人間は亜美を愛する、否、愛すしかなくなる。
まあ、俺はもとから、昔から亜美を愛しているけどね?
(少女は偽善に)(気付かず堕ちて逝く—…)