二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 小さく、咲き誇る。(デュラララ!!) ( No.12 )
日時: 2010/12/31 16:33
名前: てと (ID: slitpE5G)

No.08 「崩れてく」


死ねば良いのに。

何時からだろう、人を憎むように、愛するようになったのは。
何時からだろう、死ねば良いのにと考えるようになったのは。

何時からだろう。全てを否定し始めたのは。



「ッッ!?!?」

亜美が汗を掻きつつ起き上がった。息も若干乱れており、悪夢でも見たような後だ。
しかし、見たものは悪夢でもない、過去の記憶。

「あー……ん、何だろね」

ポツリと呟いた言葉は酷く広く感じる病室に響き、消えた。
苦々しげな表情。かなり追い詰められでもしているのだろう。
それも、これから起こることに比べれば序の口と言えるだろうが。



—池袋周辺にて。
彩音はやっぱり人混みに流されていた。
毎回恒例のようになっているが、決して計算したわけでも仕組んだわけでもない、根っからの不幸体質なのだ。

「ああああ、もう!!!!!」

イライラしたような声が響き、騒音に紛れていく。
何人かは此方を振り向くが、気づかぬ振りして去っていく。これもまた、日常といえる光景なのだが。

「ミカド兄に連絡…って繋がらない…」

それもその筈、今彼女の兄は大変なことに巻き込まれているのだから。

「あ、あのっ」
「? あ、杏里ちゃん!」

後ろから声を掛けられて振り向けば其処には兄と仲の良い女子生徒なわけで。
すぐさま笑顔を取り繕って相手に元気よく答える彩音。

「どうしたんですか?」
「いや、ちょっと。毎回恒例で」
「?」

杏里の理解できないことを言う彩音に案の定杏里は小首をかしげる。
気にしないで、と笑みを貼り付けながら彩音が言った。

「ねえねえ、良かったら一緒に買い物に行かない?」
「ご、ごめんなさいっ! ちょっと…」
「そっか。じゃあまた今度お願い!」
「はい!」

断られても流石彩音。次の約束を取り付けておいた。

「じゃあね!」

大げさに手を振れば小さく手を振り返してくる相手に少し安心しつつ、彩音は人ごみを次こそ流されないように歩き始めた。

「彩音ちゃん、か…」

自身に埋め込まれた罪歌の呪いが一層激しくなったのを見て杏里は不安そうに彩音を見る。が、すぐに杏里も歩き始めた。



(少しずつ)(少しずつ)