二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 小さく、咲き誇る。(デュラララ!!) ( No.3 )
日時: 2010/12/29 13:10
名前: てと (ID: slitpE5G)

No.01 「壊れたモノはもう二度と」


くるくる。

そう表現するのが相応しいのかどうなのか。くるくるとただその場で廻り続ける、自分が嫌う人物の妹ををみてバーテンダー服の青年——平和島静雄は軽くため息を吐いた。
さて、この電波少女をどうしたものか。静雄はただ廻る少女を担ぎ上げると、苦笑を浮べる女性へと近づいた。

「すみませんね」
「いや。つか、亜美どうしたんだよ? ああ、ついにイカれたか」
「…いえ、最近目を回すのが流行ったらしく」
「はぁ? 下らねェ理由だな」

はは、とまたもや苦笑を浮べる女性。
どうしてだろう。
こんなに人が好きだったころのお話なんて、もううろ覚えなのに。
何故、夢に出てくるんだろう。13歳のころの、お話なんて。


少女は変わってしまった。
中学2年生になった時から。少女は人が好きだった。他人も、人間ならば愛していた。だけど、変わってしまった。
人間を愛している。それは変わらない。ただ、狂ってしまった。歪んでしまった。
どんどん、どんどん狂っては歪んで、歪んでは狂う。そんな繰り返し、繰り返し。

何時しか、全てが歪み狂えば良いのにという思考を抱くほど、少女は変わった。

「嗚呼、どうしてこうも人間は面白いのかなあ、何でだろうねえ」

ビルの屋上から、池袋全体を眺める少女。短く切った黒髪が風に揺らいでいる。
自分の周りに常に誰も居ない虚無感を感じながら少女はただ言葉を紡ぐ。機械的な声音で、虚ろに。

「、あはははははははは」

機械的に、無機質に、ただ少女は、笑った。



「—怖いね、人間ってのは」

少女の姿を遠くから見つめながら、少女に酷似した青年はポツリと呟いた。
ビルの屋上に立つ少女を愛しい存在を見るかのような瞳で、優しく、愛しむような瞳で見ながら吐き出した言葉は酷く冷たかった。

「俺の亜美をこうも変えるなんてね」

くつくつと笑みを浮かべる青年—折原臨也—は、亜美と呼んだ少女から視線を逸らし、目の前にいる女性を見る。
女性は青年に蔑むような目線を送った。

「っはは、姉さんは唯一普通だよね」
「…」

淡々と言葉を紡いでいく臨也に背を向けて歩き始める女性。そんな女性を気にすることも無く淡々とやはり言葉を紡いでいく臨也。

「だから人間は面白いんだよ」

ばたん。大きな音がして女性は出て行く。
それすら気にせず、臨也はパソコンを開いた。ゆったりと、口元に笑みを広げながら。


(もう二度と)(直らない、治れない)