二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 小さく、咲き誇る。(デュラララ!!) ( No.4 )
- 日時: 2010/12/29 14:04
- 名前: てと (ID: slitpE5G)
No.02 「普通の二人は」
池袋の人混みに少女はただ流されていた。
少女、といえど先ほどビルの屋上で機械的に笑っていた人物とはまた異なる人間だ。
「ああ、もう」
呆れたような、だけどどこか楽しそうに呟けばどこかへ駆けて行ってしまった人影を追いかけるためにするすると人混みをなんとか避ける。
少女が追いかけていたのは憧れのトップモデル「アキ」こと折原美加。美加は臨也の事務所を飛び出せば少女—竜ヶ峰彩音—を頼りに池袋まで来たという。
「今日はミカド兄が来るんだっけか」
ポツリとミカド兄、という人物の名を呟く。兄という部分を除いてその人物の名前はミカド、もしくはミカドに近い人物なのだろう。
兄ということは、親戚か本当の兄。
「まあ、マサくんが迎えに行ってるし、良いか。そういや、もうすぐ入学式なんだっけか」
呟きながらも足を止めない彩音。身長が低いのもあり、少し視界が狭いのだが、その身長を利用して素早く動いている。
「嗚呼、もう高校生か。早いなあ」
彩音が高校生なのか、ミカド兄やマサくんという人物が高校生なのかは不明だ。
しかも、彩音は小学生並みの小ささ。—やはり、ミカド兄やマサくんといった人物が高校生になるのか。
「ってか、美加ちゃん待ってよね」
たたたた、と彩音は可愛らしく走りながらため息を吐いた。
「っっうー…」
一方、場所が変わって人の少ない公園にて、女性—美加は蹲っていた。泣いているようにも見えるのだが、あいにくそうではない。
先ほど、転んでしまったらしく、膝は擦り剥けている。つまり、痛みに苦悶している様子だ。
「はぁ…」
軽く、本当に軽くため息を吐きながら美加はあたりを見回した。
錆びたブランコはキィキィと音を立て、滑り台には落書きがしてあり、—簡単に言えば人っ子一人居ない古びた公園、だ。
今時そんな公園が此処、東京のしかも池袋にあったとは驚きだ。
「ねえ、美加さん!」
「あ、アヤちゃん…」
つまらなさそうに地面に落書きをしていた美加に明るい声がかかった。顔を上げれば、息を切らした彩音の姿があった。
「全くもう! 心配したんだから」
「ごめん」
本気で心配したらしい彩音をみて、美加は素直に呟いてうなだれた。
—こんな小さな子にもそんな事言われるなんて—…。
「ごめんね」
「ううん。ね、アヤの家に行こうよ?」
彩音はただ、笑って美加に手を差し伸べた。
(まだ白く、)(歪まず狂わずのモノ)