二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 小さく、咲き誇る。(デュラララ!!) ( No.6 )
- 日時: 2010/12/29 17:38
- 名前: てと (ID: slitpE5G)
No.04 「歪み狂った兄妹愛」
ピーポーピーポー。
あれ、こんな表現は相応しいのかな、相応しくないな。
ちょっと待て。俺、今運ばれてる? わあ、吃驚。
「亜美ッッ…!!」
泣かないでよお姉様。
心配してくれるのってお姉様だけだよね。マイもクルも、ましてやいざ兄なんてもう俺の事すらどうでも良いって思ってるよ。
全く反対の事を考えながら亜美はただ痛みに薄く開いた瞳を閉じた。真っ赤な瞳に写っていたのは歪みと狂気。
「嗚呼、何でだろうな面倒だな」
彩音は一人ため息を吐いた。周りには突っ伏す不良達。彩音を襲ったわけじゃなかった。この不良達は彩音の部下であり後輩なのだから。
恐らく、何も知らずに平和島静雄にでも喧嘩を売ったのだろうと彩音は呆れたような笑みを浮かべた。
「じゃあね」
気にすることも無く不良達を邪魔なので積み重ねればそう呟いて歩き始める彩音。
目指すのはアニメイトだ。
「嗚呼、電撃文庫の新刊でてるかな。何円持ってきたっけ」
バッグから取り出した財布の中身を確認して彩音はにんまりと笑む。
良く見れば地面に、不良達のものと思われる財布が転がっていた。
総合病院にて。
亜美は無機質は音が響く無機質なベッドにて寝ていた。
「うあー」
呻くような声が自然とこぼれる。痛みが予想以上に大きいらしくて。
幸い、骨折はしてなかったのでよかったんだけど、と亜美は呟いた。
「ほんと、ドジっ娘とでも言おうか?」
「いざ兄、」
「無事で良かったけどさ」
ポツリと呟かれた言葉に少し瞳が潤んだ。けど、泣けば負けのような気がして、泣かなかったが。
「いざ兄がドジっ娘といっても、きもいよ」
「酷いね」
ケラケラと笑うその様子は全然酷そうに見えなくて。
久々に、温かくて心地よくて。嗚呼、まだ入院でも良いかなと笑った。
妹が、事故に遭った。
そんな事を聞いて病院まで態々来れば妹は嬉しそうに笑った。
俺は人間が好きだ、愛してる。けど、妹はもっともっと好きだ。異性愛じゃない、歪み狂った兄妹愛だ。
けど、俺は姉が嫌いだ。平和島静雄よりはマシだが、姉は白過ぎて嫌いだ。それと、竜ヶ峰彩音も白すぎる。
やっぱり、俺は妹が一番好きだ。マイルとクルリとは比べ物にならないほどに。
「ほんと、ドジっ娘とでも言おうか?」
様々な意味をこめて、そう言ったけど。
歪み狂って、だけど純粋で無邪気な妹には伝わらなかっただろう。
(もっともっともっともっと)(大好きなんだよ)