二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 小さく、咲き誇る。(デュラララ!!) ( No.8 )
日時: 2010/12/29 19:10
名前: てと (ID: slitpE5G)

No.06 「非日常」


池袋の人混みに、少女は流される事無く呆れていた。
このまま流されていけば、見事にデジャヴだったのだが、あいにく今日はそんな余裕が無かった。

「邪魔邪魔邪魔ああああ!」

少女、彩音なりには大きな声を出したのだろうが、車の音にまぎれて虚しくも消えていく。
それもまた、池袋という場所に溶け込んで行くのだが。

「っ大丈夫?」

声が掛けられて振り向けば美加の姿があり、ほっとするのも束の間—すぐにその姿は人混みへと紛れて行ってしまう。
はああ、と重くため息を吐きながら彩音はただ池袋を恨んだ。

刹那、

「あ゛ぁああああぁ゛ぁあ!」

叫び声が、池袋に木霊した。
ゴキ、メキ。という嫌な音がして誰もそちらを見なかったが、其処には自販機に押しつぶされる哀れな男性が居た。

平和島静雄に喧嘩でも売ったか

彩音は別に慣れっこではあったので、特に気にはしなかったが。
遠くに見えた人影に気づき、慌てて彩音は男の傍を走り出す。

「あ?」

静雄は不思議そうに彩音を見て、次に彩音が向かっていく方向を見た。
其処に、居たのは—…

「「亜美!」」
「…嗚呼、君達か」

二人の声が同時にして亜美は流石に彩音達を見る。
右目には医療用の眼帯、腕にも足にも包帯。手には松葉杖。

「病院は!?」
「嗚呼、外出許可は貰ったけど」
「病院!?」
「事故った」

彩音の問いに答え、次は静雄の問いに答える。
亜美が事故に遭ったのは入学式の日なので、静雄はソレを知らなくても当然といえば当然だ。
それにしても、数日で歩き回れるとはある意味恐るべし回復力だ。

「…じゃあ、もうそろそろ帰らなきゃだし」

ふらふら、と松葉杖を持ちながら病院の方へと歩いていく亜美をはらはらと見守る彩音。
この後、何が起こるか亜美は知らずに。



セルティの首が体を付けて歩いてた?
そんな、嘘だろう。

「嘘嘘嘘嘘嘘ウソウソウソウソ」

絶対、嘘。
けど本当なんだって。嗚呼、見ときゃ良かった。
病院なんかにいるより、見たかったなあ、セルティの首。

亜美はため息を共に何処か口角を吊り上げて、ベッドへともぐりこんだ。



(非日常が)(幕を開ける)