二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 桜の図書館 (inzm/小説集) オリキャラ募集開始!! ( No.161 )
- 日時: 2011/12/24 08:11
- 名前: さくら (ID: z2eVRrJA)
(まさかとは思うけど、出場破棄はしないわよね?)
ごくり。妖しく笑う鬼沙羅を目の前に、一筋の冷や汗が頬を伝う。まさか、これ程までに調べ上げられていたなんて。思いも寄らぬ出来事と発せらせた言葉に只私は息を呑む事しか出来なかった。
追い討ちを掛けるような言動、これは正に、私に“出ろ”と告げているに相違無い。果たして、鬼沙羅にこんな頭はあっただろうか。だが今更考え直したって遅い。現実は、"Yes"という答えしか聞かないであろうな鬼沙羅と、"Yes"としか言えない状況に或る私だ。全く、正直こんな面倒臭い事この上極まりない事に首を突っ込みたく無かった。その上、今度は殺し合いとまで来た。別に仕事でそういうのには慣れもあるし、私は負けない自身もあるので如何とも思いはしないが、鬼沙羅の神経は如何にかなっているのでは無いか、心配になった。
ふ、と外に眼をやれば、先程とそう大して変わらない風景が窓から見える。華美でありながら、何処か清潔で、派手で。可愛らしい、という言葉が1番当てはまるであろうその庭に、溜息を突きそうになるのを喉先寸前で止める。
『————————………っ、はぁ、…出場、すれば良いんでしょ。…分かったわよ、』
替わりに口から出たのは、"Yes"という答えだった。
「流石ね。貴女なら承諾してくれると思ってたわ」
自分がそうさせた癖に、と脳裏に苛立ちが積もる。
(誰の所為よ、誰の!)
「では、“ルーヴァン国首都政府・元帥”七瀬虹彩、及び、コイロ・シーウェル。貴殿を第43次魔聖大戦に出場する事を、此処に公認致す。」
決戦はこれから7日後。
最終地点と呼ばれる幻島、失われし理想郷でその究極の決闘劇は開始されるのであった。
だが、何故私が選ばれたのだろうか。只、強者を選ぶだけなら私以外にもその目的に匹敵する相手は数多に居るだろうに。確かに鬼沙羅は「もう貴女の出場は公認済み」と言った。最初から私が選ばれたという事は、何か理由があるはず。それが全くと言って分からない。この戦いに出生する魔族は、何かしら叶えたい望みがある。そしてその望みを叶えたいが為に、命懸けで戦うのが魔聖大戦。だが私には何かしら叶えたいというその願いが無い。・・・無い、と言っては嘘になるが、願いなら魔族にも欲はある。願い位何万とあるはずだ。だがそれが絶対に叶えたいと強く願って居る訳でも無い。私もその一人だ。なので、命懸けの殺し合いを勝ち抜いてまで、叶える願いが分からない。=(イコール)、この戦いに出生する理由が無い。
必死に思考と思考を繋ぎ、答えに辿り着こうとしている私の脳内。そんな脳の代わりに、時間は少しずつ進む。
タイムリミットも、刻一刻と、迫っていた。
09H.( それでも このまま走っていけると信じてるんだ )