二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン〜大江戸イレブン!弐 ( No.7 )
- 日時: 2011/03/03 19:52
- 名前: ゆうちゃん (ID: 66DLVFTN)
- 参照: http://monocro39.blog109.fc2.com/
第十七話『眠る者、目覚めるもの』
「———っ」
円堂は歯を食いしばった。
着替えを終えた南雲と涼野はうつむいたまま円堂の隣に来た。
「……親分」
そっと肩に乗せられた南雲の手を円堂は払った。
「わかってる……けど!!」
和室の中央で風丸は眠っていた。先ほど医師にみてもらい、傷口は縫い合わせられたものの、絶対安静の状態だ。
”はじめまして 俺は円堂守!君は……?”
「何で……だよ」
円堂が言った。ヒロト、豪炎寺、そこにいた誰もがうつむいていた。
「源田様はいらっしゃらないのですか!?」
廊下から家臣たちの声が聞こえた。風丸の付き人である源田を探しているらしい。ばたばたとあわただしい音が駆け抜けて行った。
「親分」
ヒロトが円堂の肩に手を置いた。いつも皆の前にいるリーダーの力強い方は小刻みに震えていた。
「———泣いているのかい?」
ヒロトの問いかけには答えず、円堂は黙ったままだった。
ヒロトは円堂から手を離すと振り返って、皆に部屋に戻るように言った。ためらった南雲と涼野をヒロトが目でうながすと、二人は小さくうなずいてその場を離れて行った。
「円堂君、君が悲しいのもわかる。けど、だったら今は犯人をさが……」
「……ん、だ」
ヒロトの言葉を円堂の呟きがさえぎった。
「はじめて……の、友だ……ちだったんだ」
”風丸 一郎太”
ヒロトは押し黙ってしまった。不意に、青い髪の少女の姿が脳裏をよぎった。思えば、あのときの自分もこうだったのかもしれない。
……彼女は今どうしているだろう。
円堂は涙をぬぐいもせずそのまま立っていた。
突然、声がした。
「困ります!」
ずかずかと大きな足音が聞こえた。感覚で分かる……三人いる。
こちらに迫ってくる———ヒロトはそっと懐に手をやった。
かちゃり、と、鞘から刀が抜ける。
がらっと、戸が大きく開いて入ってきたのは見知らぬ人物だった。
「————ここにいたのか、円堂守。」
円堂が声を聞いてはじかれたように顔を上げた。唇が小さく動いた。
ヒロトは警戒心を緩めて、そっと手を柄からはなした。
「知り合い……なのか?」
「お前を探していた」
褐色の手が差し出された。