二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 名探偵コナン【序章PARTⅠ UP!!】 ( No.2 )
日時: 2011/01/04 21:05
名前: 朱鳥 (ID: KGoXVX/l)
参照: 序章 PARTⅡ

 ゆっくりと一樹は目を開けた。頭に激痛が走り、つい頭を押さえる。そして目の前にいた警察に気づき、一樹は我に返った。
 警察は微笑んで言う。

「よかった!! 目が覚めたな、お譲ちゃん」
「お、お譲……ちゃ……??」


 一樹はかなり動揺した。この歳で、そんな甘ったるい言われ方をするとは思っていなかったのだ。ましてや高校生になってお譲ちゃんとは、とんでもなく情けない話である。


「お譲ちゃん!? 馬鹿にしてるんですか!?」
「ちょ、怒らないでよお譲ちゃん。ホラ、一緒に来ようね」


 軽々と、一樹は体を持ち上げられた。そしてそれに驚愕する。高校生でかなり身長はあるのに、自分より低めの警察に持ち上げられるとは……一体どうなっている。
 そして、先程から警察が変な事を言っているのに気づく。「お譲ちゃん」。それに、小さい子供に話しかける様な口調。一樹は目を見開き、自分の体を見た。手を出して、驚愕する。


「な、な、ななな……っ!!」
「どうかしたのかい??」


 そう。一樹の体は、とんでもなく小さくなっていた。大きかった手は小学生くらいのころのサイズに戻り、身長も戻っている。おかげでドレスがぶかぶかだ。頭からは血が流れているが、その頭の髪も少し短くなっている。
 一樹はあの黒ずくめの男に飲まされた薬を思い出した。


(ま、さか………アレのせいで……)


 全てがつながった。自分はあの男達に飲まされた薬のせいで、体が縮んでいるのだ。副作用か何かであろう。
 次の瞬間、一樹は警察の顔面に蹴りをいれていた。ふいをつかれたようで、警察は一樹を手放す。一樹は猛スピードでその場を去った。



      *  *  *

 一樹は阿笠博士あがさはかせの家の前に来ていた。そんな時、向かい側に自分と同じような子供を見つける。相手も一樹の方を見ている。一樹は、その少年を見て、誰かを思い出した。そして叫ぶ。


「し、新一ーっ!?」
「その声……かかか、一樹ーっ!?」


 2人は近付くと、互いの顔をまじまじと見つめた。どう見ても、子供である。


「……と、とにかく……阿笠博士を………」


 刹那、物凄い爆音がした。つづいて「グフゥッ」という声をあげて、阿笠博士が黒煙の中から飛び出して来た。

「「あ、阿笠博士!!!」」
「痛た……何じゃお前達は」


 少し小太りの眼鏡をかけた阿笠博士。迷惑そうな顔で、縮んだ新一と一樹を見つめた。
 新一が自分を指さしながら言う。

「俺!! 新一だよ!」
「私は一樹!! 桜 一樹だよ!!」
「……新一と一樹の親戚の子かぁ。新一の家は隣じゃぞ」


 いくら説明しても理解してくれない阿笠博士に、新一と一樹は同時に言った。


「俺が新一なの!! 何なら博士の事言ってやろうか!!」
「私が一樹なんだって!! 何なら阿笠博士の事説明してあげる!!」


 新一が先に言い始めた。

「阿笠 博士(あがさ ひろし)、52歳!! 自分じゃ天才と言ってるけど、作った物はがらくたばかり!!」
「………オマケにお尻のほくろから毛が1本出ている」


 ……なんとか阿笠博士に理解してもらうと、3人は新一の家に入った。


      *  *  *

『一樹!? どこにいるの!? 心配したんだよ!?』


 携帯越しに怒鳴ってくるのは凛だ。
 よく工藤家に泊まっていた為、服が1つ置いてあった。小さい自分用の服だった。黒白のボーダーの上に、黒いベスト。下は暗めの緑の半パン。黒い七分のタイツをはいていて、黒ピンクのシューズをはいている。
 それに、母が置き忘れて行った赤い四角上の眼鏡もあったので、それもかけた。結構似合っている。


「ごめんごめん、ちょっと用事が出来たの」
『………何か声変わってない??』
「あ、あぁ……ちょっと風邪気味になって………。あ、もう切るね」
『ちょっと!! かず———』


 ブツリと一樹は電話を切った。新一と同時にため息をつく。が、一難去ってまた一難。

「………新一ー? いるのー?」
「ゲッ!! 蘭だ!!」
「ちょ、ちょちょちょ!! 新一、隠れるよ!!」


 慌てて2人は机の後ろに隠れる。入ってきた蘭に阿笠博士はあたふたする。
 新一は机の引き出しを開けると、眼鏡を取り出してかけた。その際にくらりとなって、ゴチンッと派手に机に頭をぶつけた。その音に蘭が気づき、机の後ろに来る。


「まぁ、照れ屋さんの2人ね。ほら、こっち向きなさい」


 後ろを向いていた2人は、無理矢理前を向かされた。
 蘭は茫然と2人を見交わして、次の瞬間パッと花のように顔を明るくさせた。

「この子たち……可愛い〜!!」


 きつく抱きしめられ、一樹は窒息死するかと思った。新一の方をちらりと見れば、にやけている。一樹は本気で呆れた。
 蘭が2人を抱きしめるのをやめて立ちあがり、阿笠博士の方を見た。


「この子たち誰ー??」
「あ、わ、わしの親戚の子じゃ!!」


 苦しすぎる言い訳に、一樹はつい苦笑した。
 蘭は微笑みながらじゃがんで、一樹と新一をじっと見つめた。


「僕、名前は??」
「あ、え、な、名前は新……じゃなかった……」


 とっさに聞かれて、新一は困っている。その時、本をちらりと見たのを一樹は見た。そこにあったのは「江戸川乱歩」と「コナン・ドイル」だった。
 
「………コナン!! 僕の名前は、江戸川 コナンだ!!」
「コナン? へぇ〜、変わった名前ねぇ……。で、私は??」


 一樹も本気で驚いた。新一、否、コナンの方を見れば、「頑張れ」という応援する的な顔をしている。
 一樹は必死に考えた。


『あのねぇ〜、ママの元の名字は、“一ノ瀬”なのよ』
『え? じゃあなんれ、いまのママの名字は、しゃくらなの??』


 幼い自分が言っていたのを思い出す。
 そして、もう1つの会話。


『ね、一樹ちゃん。今の名前気に入ってる??』
『うん。充分気に入ってるけど……??』
『そっか!! よかったぁ〜。実はね、一樹ちゃんが生まれた時、もう1つ希望があったのよ。それはね——』


 次の瞬間、一樹も叫んでいた。


「たし……私の名前は、真央!! 一ノ瀬 真央だよ!!」










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ひっぱりすぎごめんなさい。
次回で序章終わらせますので、少々お待ち下さい。