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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: HUNTER×HUNTER 短編集 ( No.1 )
- 日時: 2011/01/03 07:34
- 名前: 葵 ◆iYEpEVPG4g (ID: 4uYyw8Dk)
「瞳」
プロローグ
小さい頃は、この自分の左右で色が違う瞳が大好きだった。
お父さんもお母さんも、皆、綺麗だねって褒めてくれた。
蒼と金の、綺麗な瞳が大好きだった。
ある時、村の人が1人殺された。
幼い私はまだ「死」なんて事は理解していなかったけど、いつもお菓子をくれる隣の家のおじさんが居なくなってしまったのを覚えてる。
ある時、村で火事が起こった。
村の半分が焼けて、たくさん人が死んだ。
その時、私のお母さんも死んでしまった。
綺麗な瞳を褒めてくれていた人が、たくさん居なくなった。
—それから2年の時を得た時、
私は捨てられた。
家族に、友達に、災いの子と言われ、石を投げられた。
7歳の誕生日。
綺麗な筈の瞳が嫌いになった。
家族が友達が、大嫌いになった。
皆死んでしまえば良いと思った。
だけど無力な私は、何もする事は出来なくて。
ある時私は拾われた。
ごみ溜め場で、溝鼠みたいな生活をしていた私を。
おばさんは、私に普通の生活をくれた。
もう潰してしまえば良いと思った瞳も、綺麗だと言ってくれた。
それでもまだ瞳の色は好きになれなかったけど、おばさんは大好きだった。
—おばさんが死んだ。
また私の大好きな人が消えてしまった。
また、瞳の色が大嫌いになった。どうして私の大切な人はいつも居なくなってしまうんだろう。
そう思う度、この瞳が無ければと何回も目を潰そうとした。
だけど瞳は潰せなかった。
潰そうと針を握ると、大嫌いな筈の瞳から涙が零れた。
大嫌いな瞳と、大嫌いな自分の人生。
大好きな人の死と、大好きな瞳に向ける嫌悪。
それが私の、すべてだった。
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