二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼-報われなくても愛してる- ( No.12 )
日時: 2011/01/06 14:50
名前: 砒素 ◆q3OJ/GHggw (ID: OeXJRIuY)

壱章「鬼の存在と鬼の嫁と愛情と嫉妬」


「ほう……。北の国の鬼か……」
こんな所で再会するとは思わなかったぞ。北の国の鬼、美嶋鏡花。こいつも珍しい女鬼だ。

「風間千景……。貴様、狙いは雪村か?」
いつもよりずっと低い怒気を含んだ声色。刀と弩が一緒になったような武器を左手に装備する。

「最初はその予定だったが……」
フッ、と歪に唇を歪める。後ろで待機している灰色の髪の人はニヤリと笑った。赤毛の人は無表情。

「不知火、天霧。邪魔はするなよ」
と、彼も静かに刀を抜く。何とも言えない緊張感がその場を走り、二人同時に地を蹴った。


「流石……!」
後ろに引いたのは鏡花さんの方。鍔迫り合いになったら、女の鏡花さんが勝つのは困難。
「貴様、気に入ったぞ。北の国の鬼よ……!」
二人は戦っていると言うのに口元に笑みを浮かべていた。楽しげでもない、何とも言えない笑みを。


だが、風間千景と呼ばれた彼は刀を鞘に戻す。そして、最後に不敵に笑った。

「嫁にすべきは西国の鬼でなく北国の鬼か……」


と言い残し、その場から音もなく消えて行った。