二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ワンピース 天まで… ( No.21 )
日時: 2011/03/24 09:11
名前: リリア♪# (ID: CA3ig4y.)

〜第16話 夢と現の狭間で〜

ティルアのかすれた声は、ルフィにだけ聞こえていた。

「お前…」

「私…屋敷に帰っても殺されるし…それに、南ゲートも通れない。」

「!?」

ティルアは、腕に着いていた海楼石を見せた。

赤くあしらわれたブレスレットだった。

「もう…逃げられないの。」

「何で早く言わなかったんだよ!」

「言えなかったんだろ。」

ゾロが、冷静な声で入った。

「ちょ…待てよ!何でお前が知って…」

「…城でな。」

侍女が前を歩き、ゾロは少し後ろを歩いていた。
ふと、横の兵士を見ると、にやにやと笑っている。

「死刑だよな…あの女。」

「ああ。王女が大抵人を呼ぶのは、海軍か死刑囚だからな。」

声こそ小さかったものの、はっきりと聞こえた。
侍女は兵士を睨みつけると、ティルアに今の話が聞こえないように話した。

「…その後、あるバァさんに会った。

そいつは、あの侍女が本物の“王女”で、今の王女は、“作り物”だと言った。」

ティルアは驚き、顔を上げた。

誰もが初耳だった。

「どう言う事?」

「あの侍女は、ユメユメの実の幻想を作りだせる奴だ。」

「それで…あの王女を作り出した訳?」

「そう言う事だ。」

ルフィが、ティルアに何か言いかけたその時、一発の銃声が轟いた。
銃弾は、ティルアの足を貫いた。

「おい!ティルア!!」

「…?…」

「お前の事情は分かったから、あとは休め!!」

うっすらと開けた目では、何も見えなかったが、大きな光が、代わりに見えていた。


森からは、海軍と、レイシアの守備隊が居た。

「チョッパー!後は頼んだぞ!!」

「お…おお!」

ルフィは、船から降りた。

ティルアは、海楼石を外そうとするが、どうしても触れられない。

「お前はちゃんと治療しないと…」

「いいからこれ外せ!」

ティルアが口調を変えると、チョッパーが慌てて外す。

チョッパーも触れられなかったので、結局枝を使って外した。

「よしっ!取れた!」

ティルアが立ち上がったのを、チョッパーが止めた。

「治療しなきゃ駄目だって!」

「…五月のうるさい蝿め…」

「(それって、五月蝿い(うるさい)って事だよね!?)」

「戦ってくれてるのに、私だけ戦わないなんて、有り得ないから。」

ティルアは、また睨み「離しなさい」とチョッパーに言った。

チョッパーは、手を離した。


「くそ…!海軍だけじゃ無いぞ!?」

「当たり前じゃない!!守備隊も居るのよ!?」

ナミがクリマ・タクトでゾロの頭を叩く。

「八つ当たりかよ…」

「さっさとやりなさい!!ティルアをちゃんと仲間として迎えるのよ!」

「お?もう仲間扱いか?」

「会った時から、仲間よ。」

「…そうか。」

ティルアとチョッパー以外は、全員戦いに応じていた。

森を抜けると、広い街に出ていた。

   =無人の街 ヨーネイ=

海軍や、国の守備隊などで無人の街の静けさは、一気に消えた。


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「無駄な抵抗など…しなければ良いでしょう?」

侍女の剣が光り、長い剣の先は、ティルアの足を捉えた。
大声を出しそうになるのを、必死で抑えた。

「私…に…何か…?」

「ええ。殺しに。」

刺したままの剣を少し動かすと、激痛が走った。

「そりゃ…そうね……」

ティルアがにやりと笑うと、侍女は冷ややかなまま、剣をさらに動かした。

「やめろよ!!」

「目障りなのよ。貴方も…親も…全てが…!!」

侍女は、一気に剣を抜く。

「私との関係者らしいわね。」

激痛が有り続ける足を触った。

侍女は、手の平の竜のマークを見せた。

「私が、本物のヒリア・フューナリアよ。」

ティルアは、侍女…ヒリアを睨むと、風でヒリアを掴んだ。

「海軍の事、王女を装い、私を殺そうとした事。全てを話しなさい。」

ティルアがそう言い、睨んだ時、ヒリアは、ティルアに手を向けた。

「…行ってらっしゃい…」

「…!?」

ヒリアの手から、光がパッと散った。

その光は、やがて様々な色になり、ティルアの体に入っていった。

「“夢回廊”!!」

ヒリアがそう叫ぶと、ティルアは苦痛の表情を浮かべ、“消えた”。

「自分の過去を、見つめ直すといいわ。」