二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ワンピース 天まで… ( No.26 )
日時: 2011/04/06 15:26
名前: リリア♪# (ID: CA3ig4y.)

〜第21話 生まれた意味〜

ティルアは、崖の上に居た。
風の当たり、海を一望出来る場所。

牢屋を抜け出したのだ。それほど難しい事では無かった。

しかし、軽い気持ちで、船に戻る気にはなれなかった。

この不幸の連載は、絶対に続くのだから。

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 〜くろいりゅうとゆうしゃ〜

 あるところに、おかあさんがびょうきになってしまった、ゆうしゃがいました。
 おかあさんのびょうきは、よくなりません。
 するとゆうしゃは、“びょうきにきくくすり”をさがしにいきました。

 ゆうしゃは、10にんのなかまをつれ、うみにでました。
 あらしにあい、ひとり、またひとりとはぐれてしまいました。

 ゆうしゃは、なかまたちをたすけたくても、たすけられませんでした。

 やがてひとりになったとき、あるしまにつきました。

 そこには、にじいろにかがやく、くさがありました。

 ゆうしゃは、「これならおかあさんをたすけられる」とおもい、そのくさをとって、ふねにもどりました。

 すると、おおきなこえがしました。

 うしろにいたのは、おおきなくろいりゅうでした。

 「まて。このくさは、とってはいけない。」

 りゅうは、ゆうしゃにいいました。

 しかし、ゆうしゃはききません。

 くろいりゅうはおこり、そのゆうしゃをうみにつきおとしました。

 ゆうしゃはおよげませんでした。

 やがて、そのゆうしゃのこどもには、“くろいりゅうのマーク”がつきました。

 そのマークをもったひとたちは、いっしょう、ひとをふこうにしつづけるといいます。

  〜おわり〜

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ティルアは、下を向いた。

「もう…探さなくていいよ……!」

もう私には、何も守る者はいない。
もう、私には生きてる意味が無い。


ごめんね、みんな。

こんな…私が……

気づけば、崖に向かって歩き始めた。

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ルフィは、チョッパーと合流した。

「何か見つけたか?」

「まだだ…それより、気になる場所があるんだ。」

チョッパーは、上を見上げた。
崖には、何も見えない。

「あそこから、微かに蜜柑の匂いがする。」

蜜柑と言えば、ナミの匂いもそうだった。

「ナミじゃねーのか?」

「違うんだ。もっと…哀しくて…」

チョッパーは、表現に困ったのか、黙り込む。
ルフィは、また上を見上げた。

「よし。行くか。」

ルフィは右手を伸ばし、左手でチョッパーを抱えて崖に向かって飛んだ。

瞬く間に崖の上に辿り着いた。

そこには、虚ろな目をした、ティルアがいた。

「…ルフィ…」

ティルアが微かに声を出した。
怒りが籠もっているようにも見えた。

ティルアは、また一歩、歩く。

「今回の事もあったでしょ?私には…幻滅したでしょ?」

ルフィは、ティルアの肩を掴んだ。

「そ…そんなこと、思う分けねえだろ!?」

チョッパーも言う。

「みんな気にしてねぇよ!早く船に戻ろうよ!!」

ティルアは、ルフィの肩を掴みかえす。

「みんなは気にしてない?そうでしょうね…

でも、最終的に苦しむのは私なの!!」

ティルアの言葉に、二人が黙り込んだ。

「私はマークを持って生まれた!マークを持つ者は一生…!!周りの者達を不幸にし続ける!なら!!」

ティルアは、へなへなと座り込んだ。
頬を、冷たい涙が伝った。

「私は、みんなと居ない方がいいよね…?」

黒い龍の言い伝えは、少なくとも本当だ。

もうこの場で、不幸な事が起きているのだから。

「私は、言い伝えによって呪われた。ルフィになんか、二度も迷惑をかけた。チョッパーだって、傷つけた…!」

チョッパーが、静かに言った。

「おれ達は、何回迷惑かけられても、たとえ傷つけられても、気にしてないぞ。」

「でも…また…こんな事があったら次は…!!」

「そんな事ねぇ!」

ルフィが叫ぶ。

暗い風を、向かい風を、かき消すように。

「もうお前は仲間だ!!何があっても見捨てる訳ねぇ!

捕まったら、助けるだけだ!」

ルフィが笑いかける。
ティルアは呟いた。

「そっか…」

今までの悩みが、消えた気がした。
暖かい言葉に、またむせび泣いた。

=この命の意味もいずれ分かるか…=