二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ワンピース 天まで… ( No.30 )
- 日時: 2011/04/18 06:41
- 名前: リリア♪# (ID: CA3ig4y.)
〜第25話 竜の集う場所〜
ティルアは、キツく閉じた目を開けた。
雰囲気が変わった。直感でそう感じたからだった。
目の前に現れたのは、綺麗に着飾った女の人だった。
その人は、微かに声を出す。
「………………黒姫……………」
驚いて体を起こす。
周りを見ると、気絶させられていたナミや、チョッパーが居た。
「誰なの!?ていうか黒姫ってー」
言葉を続ける前に行動したのは、その人だった。
ティルアを、抱きしめたのだ。
優しく、暖かく。
「……!?」
ティルアは、その人を突き飛ばした。
そして、ナミやチョッパーを抱えると、“癒やしの風”を当てた。
襲われた形跡のある傷やアザは消えた。
その人は、驚いたようにティルアを見つめた。
ティルアは攻撃体制に入る。
「答えなさい……何故私達を襲ったか。そして、……黒姫とは何か。」
その人は、恭しく頭を下げた。
後ろにいた数名の兵士も、膝をついた。
・・・
「無礼をお許し下さい、リアナ王女。
貴方は、私共“黒龍の紋章”を持つ族の王妃でいらっしゃいます故、話せば長くなる事で御座います。」
ティルアは立ち尽くした。
リアナ、黒龍の紋章。
過去の全て。
「…………全てを話しなさい。」
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ナミの目が覚めると、状況を告げた。
この人達に案内され、“ある場所”に連れて行っていかれると。
絶対に戻る。無理な真似はしない。
そう強く告げ、船を後にした。
「黒姫様は、黒龍の紋章について、どれ程お知りですか?」
「……全く。」
マークについては、それ程熱心に調べた事は無かった。
ただ、昔話と言う事だけ。
そして、歩いている内に、一つの大きな門が現れた。
門の先は下に続く階段だった。
兵士の一人が松明を持ち、前を歩くと、階段左右にあった蝋燭に火を灯して行く。
「どうぞ。」
思わず唾を呑んだ。
“危険な香りは巧妙に消される。
ただ漂うのは、甘い蜜の香りのみ。”
今迄の経験上からして、そんな事を思っていた。
今は、危険な香りがした。
女の人に促されたが、ティルアは後ずさった。
「?…どうしました?」
ティルアは、震えていた意味が分かった。
「私は、リアナ王妃だと、そう言ってるわよね。」
「ええ。」
「今回連れ戻したのは、また王妃になってもらう為じゃないの?」
「!!!」
過去を話すふりをした。
ただ、竜の集う場所と言うのは正解らしい。
ビートファイアーの住民は見る限りは、全員マークを持っていたからだった。
女の人は溜め息をついた。
「王妃は、そこまで成長されましたか。」
諦めるように、女の人は、一つのペンダントを渡した。
翡翠の宝石を、竜の形にしている。
光に照らすと、虹色に輝いた。
「私達は、これを“記憶の欠片”と呼んでいます。」
「記憶の…!?」
「王妃様が知りたかったのが過去ならば、全てをこの結晶が教えてくれますよ。」
女の人はそう言って、階段を下りて行った。
「待って!」
ティルアは思わず呼び止めた。
「貴方の名前は?」
女の人は、微笑を浮かべた。
「それも、教えてくれますよ。」
やがて兵士も門の中に消えた。
遠くで、悲しい声がした気がした。