二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ワンピース 天まで…@参照200突破ッ@ ( No.31 )
日時: 2011/04/20 21:54
名前: リリア♪# (ID: CA3ig4y.)

〜第26話 フリージア〜

暫くしてサニー号(ティルアは“トラさん”と呼んでいる)に戻ると、サンジが凄い形相でサニー号に入って行くのを横目に見ますながら、部屋に入った。

竜の形の翡翠は妖しく、けれど、どこか見とれる光を放ちながら輝いている。

ティルアは、その宝石を握った。
祈るように。

生温かい、人の体温のような温度が、手に伝わる。

     御願いします。

 もし本当に過去を見せてくれるのなら、

   全てまでとは言いません。

   私の疑問に答えて下さい。


    リアナって何?

    私の生まれは?

    黒いマークの意味は?

    どうか、教えてーー

答えたのは、急に輝き始めた宝石だった。

慌てて見ると、宝石の、竜の目の部分が光っている。

まるで、命を、宿したかのように。

    =いいでしょう。=

綺麗な声。

この世の声とは思えないくらいの。

    =答えましょう。全てに。=

その光は強さを増し、目の前が暗くなった。

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「…(つんつん)」

白く、可憐な指が頬に触れた。
ティルアのぷにぷにとした頬に触る。
顔を上げると、横に居た人物に気づいた。

「貴方は…?」

横に居たのは、声の主だった。

肌の色と同じような、白い髪。
それを後ろで結い、白いリボンが飾りになっている。

服は、淡い青色のワンピースだった。
吸い込まれるような黒い眼は、自分とは違い、真っ直ぐ、濁りっ気が無かった。

「私は記憶を司る女神よ。ようこそ。“記憶の図書室”へ。」

ティルアは改めて言われ、今いる場所に気づいた。

座っていたのは白い床。

そして奥に広がっているのは、本棚だった。

数多の本。そして、その“女神”は三つの本を持っていた。

背表紙には、“ティルア・シーヴィ”“リアナ・フューナリア”そして見知らぬ名前“ルーテリオン・D・ミュート”。

女神は、その本をティルアに渡した。

「これは…?」

女神は、本棚の入り口にあったーーつまり、ティルアの後ろにあった噴水に腰掛けた。

「全て貴方の記憶。」

ティルアは、驚いて本に目を移した。

この“D”もそうだろうか。

女神は、噴水の水を掬う。
その水は、手からこぼれ落ちる。

「ルーテリオンって子は…貴女の前の名前。」

女神は水を置いてあった硝子のコップに入れると、ティルアの持つ本にかけた。

ティルアはその行為に驚いたが、その水は、本に吸い込まれるようにして消えた。

「そして、リアナがレイシアでの名前。そして……」

女神はふっと笑う。

傾けたコップを元に戻すと、本から水が浮き出て、水は一つとなり、コップに戻った。

「ティルア・シーヴィは、今を生きる、悲しい戦士。」

硝子の何も飾りのないコップは、少し光っている。

コップに映っていたのは、映像だった。
一瞬だけ映り、また別の映像に切り替わる。

何の映像かは分からなかったが、人の過去を見せたようだった。

女神はその映像を満足げに見て、噴水に戻した。

そして、女神は振り向いた。

「私の名前は、フリージア・テーゼ。この図書室に来たくなったら、いつでも来てね。」

女神、フリージアは、左手に着けたブレスレットを掲げると、ブレスレットが光り、その瞬間、景色は歪んだ。

ティルアは、本を抱きしめる。

遠くでフリージアが、ニコリと笑った。

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「ふ…ぁ…」

激しい眠気が有るまま体を起こすと、手元には、本が三冊あった。

ティルアは、あの“D”と書かれた本を開いた。

三つ繋がっているのなら、この本が最初だと思ったからだった。

微かな光が漏れ、その光は“風”となる。

ゆっくり渦巻き、過去の“映像”を映していった。