二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ワンピース 天まで… ( No.32 )
- 日時: 2011/04/22 21:40
- 名前: リリア♪# (ID: CA3ig4y.)
- 参照: ※グロ注※ヤバいかも。
〜第零章 1話〜
貴方は、あと1日で人生が終わると言われたら、どうしますか?
色々な事が出来ますね。
では、1秒なら?
貴方は、あと1秒で何をしますか?
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奴隷小屋。
薄暗く、外界がとても遠い。
ここの奴隷は、“貴族では無くなってしまった”人々だった。
貴族の奴隷小屋は、普通の奴隷より扱いが悪い。
とても、言葉で言い表せない程。
それでも文句を言わず、ただひたすら耐えている人が居た。
元の名を“ルーテリオン・D・カリユ”。
リョーレン家に嫁入りした人物だった。
このリョーレン家には、貴族には付き物と言っていいくらいの、“黒い噂”。
それが全く無い貴族だった。
自分から働く事を全員が好きとした。
しかし、海賊には、それがもっと黒く見えたのか、もっと酷い扱いを受けた。
話を戻すと、彼女の居る部屋は、身ごもった女のみ。
しかも、その子供には会えない。
目の前で殺しているのだ。
母親の前で、赤子の首を落とすのだ。
そんな恐怖に震え、自ら命を絶つ人も多かった。
この奴隷の主は海賊。
誰も、勝る人は居なかった。
首を落とすのを“趣味”としている、男。
そして、隣につく副隊長の女。
その二人が、生まれた直後の赤子を、殺していた。
今も、赤い血飛沫が飛んだ。
女の人の、叫びが聞こえる。
下劣な声。
しかし、ふとある事に気づいた。
隣に居た副隊長は、なぜか顔を伏せ、
泣いていた。
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夜になり、身ごもった人がカリユ一人になった時、副隊長がやって来た。
兵士も付けずに。
やがて副隊長ツィータは、膝をついて、深く、頭を下げた。
「(貴方は、何故ここに?)」
「(済まない、私の力不足でこんな…)」
副隊長、名をツィータと言ったこの人は、この非道なやり方を笑って見ていた副隊長。
でも、心では泣いていた。
ツィータは、子供が居た。
しかし、海賊が自分の村を襲い、ツィータは連れて行かれた。
元々は海賊では無い、ただの民間人らしい。
心の表面であの海賊に、服従を誓った。
生きていれば、またあの子達に会えるかも知れない。心から笑える日が来るかも知れない。
そう思ったからだった。
でも、目の前での絶望を味わった。
=服従すんなら…=
こんな事、大丈夫だよな?
と、二人の子供を惨殺した。
もう、心から笑える日は、二度と来ないと分かった。
「…そして、私にどうしろと…?」
ツィータは、耳打ちした。
手の甲を、見せながら。
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カリユの部屋に、赤子の、元気な泣き声が聞こえる。
そこに暫くして、あの二人が現れた。
「オーオー。元気なこったぁ。」
男は、その赤子を片手で持つと、高々と掲げた。
首に刃物を押し当てて。
そして勢いをつけた所で、ツィータが言った。
「私も、殺してみたいんですが…」
「オォ、いいぞ。」
そして、ツィータにナイフと、泣きじゃくる赤子を渡した。
「では…」
ナイフを持ち、カリユにアイコンタクトをとる。
=貴方の娘は、しっかりと、守ります!=
そして、ツィータは駆け出した。
「おい!?」
「行って!ツィータさん!ミュート!!」
カリユは力の限り叫ぶ。
私の娘だから、きっと。
根気強く生きられるわよ!ミュート!
私が死んでも…
その後、赤子の血ではない、血飛沫が飛んだ。
ツィータは目を逸らす。
必死に走り、奴隷小屋の門を抜けた。
そして、海賊船についていた小船を出す。
手には、“レイシア”のエターナルポース。
ツィータは、レイシア外れの島、“ビートファイアー”の住民だった。
ミュートの手には、もうハッキリと紋章が浮かび上がっている。
あのカリユの手にもあった。
Dと、紋章。
この二つが、脱走を決めつける要因になった。
ツィータは、自分の腕の中で眠る、赤子を見つめる。
生きて。
私からの願い。
それがカリユの願い。
どう生きようといい。
自由に芽を伸ばして。
私の娘より、もっと…