二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: けいおん! 会いたくて—— ( No.13 )
- 日時: 2011/01/13 22:54
- 名前: 藍那 ◆zCS1o.kilU (ID: Nf5qxtZ9)
6 澪side
律が腕を頭に回し、私はすこしうっとおしくなった髪を結びながら話をしていた
「はぁー、今日は色々あったなー」
「そうだな……」
と、言っても。こんな感じの会話なんだけど
まぁ今日のことを振り返ってみる
石田の入部があったことだ
ってか……
石田って、何か今までの学校にはいないような男子だよな……何かを想ってくれてたり、それをけなす奴を嫌ったり、やってほしいことを出来る限り応えようとしてくれたり。あれで卓球が出来るって聞いたし、勉強は出来るかどうか知らないけど——
「ん、おーい澪ー」
顔がかっこいいしなぁ……ちょっと気になるよな……
「……ふじつぼが……びっしり」
「キャアアアァァァァァァ!!! 」
何何何何何何一体なんでふじつぼがぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
律が耳元で囁いた唇を離した
私は今現実逃避をしようと「見てない見てない」を繰り返し言っている。こんなまだ日も暮れていない夕焼け空の下、私はしゃがみ込んで現実逃避をし続けている
「冗談だよ澪。悪かったな。澪に何言ってもぼぉっとしてたからどうすれば気付いてくれるか考えた結果、ふじつぼがぁ……びっしりとぉ……」
「きゃあぁぁぁ!!!! 何も見てない聞いてない感じてない食べてない!!!! 」
「……何が食べてないんだよ、悪かったって」
律が私の頭を撫でてくれる。もう、ふじつぼふじつぼって何回も言うなぁ!
ようやく立ち上がった私に、律が問いかけてくる
「で、それで、何を考えていたの? 」
「え……」
「澪が何か考えてる顔をしてたからさ。もしかして……石田の事? 」
ギクン——
何で、バレてるんだ……?
でも、少しだけしか考えてないのに——
考えているだけで、石田の事を意識しちゃうんだ
あれ、なんか体が温かく……
「……顔真っ赤だぞ、もしかして図星だったか」
「!? 」
しまったぁぁぁぁ!!! 何か顔が、顔が真っ赤になってるぅ!
必死に自分の少しだけ冷たい手で、少なくとも今の私の顔よりは間違いなく冷たい手で顔を冷やそうと考えた
「……澪、もう真っ赤になっているところ見ちゃったから、隠そうとしても無駄だってば。それより、石田の事……気になるの? 」
「……分かんない」
「そっか」
何で気づかれちゃうかなぁ……私って、何か顔に書かれているのかな……誰かが落書きしてるんだ。って、そんな訳はないか。
やっぱり、ずっと一緒にいる律には気付かれちゃうのかな——
日も暮れて、空も暗くなってきたころ。昼は確かに春、という暖かさを感じたが夜になってみると、まだ冬が残っていた
「じゃ、私家に着いたし帰るわ」
「うん、お疲れ」
ばいばーい。と声をかけ、律の姿が消えた
「このまま、帰ろうかな……」
いつもは家の近くにある河川敷でうるさくならない程度にベースの練習をしていた。少しでも上手くなるために、そして、もっと人を喜ばせるために——
だけど、今日は何故か気が乗らなかった
石田が入ってからぼっとしてる——
やっぱ仲良くなりたいなぁ——
それだけで、頭がいっぱいになる
キュウウゥゥゥゥン……
「……? 何の音? 」
その練習をやめておこうかと思っていた河川敷を通り過ぎる時に、エレキギターのような聞き覚えがあるわけではない、少し低かった音。
それには、神秘的なものを感じた
「——!? 石田……!! 」
河川敷で練習していたのは、ちょっとさっきまで考えていた、あの石田だった。たぶん今日部活が終わったらすぐに買ったんだろう、あのアコースティックギターを、少しも音をずらさず——
「お、秋山」
向こうも私に気付いたみたいだ。石田は毛付コートを着てマフラーをして、とにかく風邪はひかないようにしよう。という感じのコーディネートだ
「どうしてここに? 」
「中野がアコースティックわざわざ選んでくれてさ。今すぐに練習したい気持ちになって、帰ってすぐに練習に集中できそうな所を探してたら、歌詞が浮かびそうな所を見つけてさ。ここで練習することに決めた。家じゃ外へ出たくなって練習に集中できないしな」
「梓が一緒に行ったの? 」
「あぁ」
梓……いいなぁ
少し嫉妬、しちゃうかも
「秋山も練習で? 良かったら一緒に練習しよう? 俺分からないところがあってさ」
「……いいの? 」
「あぁ、迷惑じゃなかったら」
梓、さっきの撤回
私にも、チャンスが巡って来てくれました——
NEXT……