二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: けいおん! Listen! 鑑定結果届きました ( No.19 )
- 日時: 2011/01/16 01:21
- 名前: 藍那 ◆zCS1o.kilU (ID: Nf5qxtZ9)
8 竜雅side
——カツンカツンカツン
階段から走っている音がする
そりゃあ俺が走っているからか
呼吸が少し荒くなる。「そんなに急いでどこに行くの? 」と言われるかもしれない
よし、ドアを見つけた——
「よっす…… 」
行き先は、俺がつい昨日入った軽音部だ。急いでた理由は、一刻も早く昨日買ったギターで皆と練習したい、ただそれだけの一心だ
「息が荒いね……走ってたの? 」
「あぁ、ちょっとな」
卓球部にいたころはそこまで疲れなかったのにな……体力が落ちたんだな
結構早く来たつもりでいたんだが、もう既に皆が揃っていた
えっと、とりあえず昨日覚えたことを確認
平沢、秋山、田井中、琴吹、中野……よし、完璧に覚えられた
そして皆がいるところの近くへ行くと、新しい椅子が用意されていた。俺が入部したから、増やしたのだろうか。「石田君はここに座って? 」という琴吹の言葉があったんだから、きっとそれで間違いないだろう
俺は背負っていたアコースティックギターを床に立てて下ろして、指定された椅子に座ってみる
「石田君、今日はケーキだよ」
「あぁ、ありがとう」
今日はレアチーズケーキだと言う。食べてみると確かに美味かった
だが、これっていつも誰が——
「ムギちゃんのケーキ美味しいでしょ? 」
平沢がケーキを荒く食べながら言う
とりあえず確信した
琴吹=大富豪。この方程式は誰にも文句言われないほど、完璧な答えのはずだ
「うん、確かに美味いな、これ」
そのことを言ってから紅茶を飲み干す。このカップ……いや、もう何も突っ込まないことに決めたんだ
それはいいとして
この部活は、かなりスロースターターの部活なんだな。と思った
まぁ、部活それぞれだし、俺は文句もないからいいけど
「それじゃ、練習しよっかぁ!! 石田もギター買ったことだし! 」
ケーキを食べ終えた田井中が立ち上がり、皆をせっせと誘導する
中野に後で聞いた話だが、田井中はいつもこんなに張り切っておらず、平沢と一緒にまったりのんびりしてるらしい
俺は急いでケーキを食べ終えて、ギターケースからギターを取り出す
「あぁ—— 」
「じゃ、石田の位置はここだな! 」
俺は、秋山と平沢のちょうど真ん中だった。まぁギターだから前にいる必要があるんだろう
「えへへ、よろしくね〜」
「あ、よ、よろしく……」
平沢、秋山の順に話しかけてきた
……よろしくと言うほどのものじゃないと思うんだけど
まぁ、軽く頷いておいた
「じゃ、明後日の新歓ライブに向けて、あわせていくぞ〜! 」
「お〜!! 」
ん? 合わせる?
「合わせるって……何の曲をだ? 」
「…… 」
俺以外の皆が見つめ合いながら
「あーーー!!! 」
皆忘れてたんだ、俺が昨日入部したこと、そして、新歓ライブについての話を全く聞かされてなかったんだ
「え……じゃあどうします? 」
中野も焦り始めた
「石田を抜く手もあるけど、部員全員ライブが鉄則だしなぁ」
田井中も頷いて自分は落ち着いているように見せているが相当悩んでいる顔をしている
そうだ、本当にどうしよう
新歓ライブは二日後、それしかないんだ——
「折角みんなでライブ出来ると思ったのに……」
平沢がうなだれた
とうとう皆諦めモードに入っている
そりゃそうだよな、ってか、俺外してくれてもよかったのに——
そうだよな、俺が皆の願いに応えられなくて、どうするんだよ
よし、決心した——
「間に合わないかもしれないけど……寝ないで曲を覚える手段は選択肢にあるか? 」
一瞬、皆の動きが止まった——
「石田、無理だそれは」
田井中が俺の選択肢を削除しようとしてきた……
「だけど、俺を出してくれるんだろ? だったら練習するよ。大丈夫、4日間寝なかったこともあるんだ」
「…… 」
皆下に顔を向けた
やっぱ無理かな——
俺にも諦めモードが入ったときだ
誰かに肩をポンと叩かれた
「石田がそう言ってくれてるんだし、それに甘えて信じてみよう」
秋山だ——
皆頷き、「頑張れよ石田! 」「石田君頑張ってね〜」などと、応援してくれた
ドキッ……
あれ、今——
「石田、頼んだぞ! きっと出来るよ」
ドキッ……
あれ、まただ——
「どうしたんだ石田? 」
秋山が顔を覗き込む
いやだから近……いや、もうこのことについても突っ込まない方針にした
「あ、ありがとう。俺頑張るからさ、期待しといてくれよ」
そう、これからが修羅場なんだ——
それにしても、さっきの心臓の高鳴りは——
NEXT……