二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: けいおん! Listen! 鑑定結果届きました ( No.35 )
日時: 2011/01/21 19:29
名前: 藍那 ◆zCS1o.kilU (ID: Nf5qxtZ9)

  11 梓side


  もう夜も近づいてきて、風も強くなる
  窓が叩かれて、強い音を立てる
  私は今、唯先輩の家で練習をしている
  それはなんでかって言われると——

  家に帰ってからの話だ
  着替えるのもなんか面倒くさくて、ソファーに寝転がっていた

  「はぁ…… 石田先輩、謎な人だなぁ…… 」

  それはつい昨日竜雅先輩とギターを買いに行った時のことだ

  『竜雅先輩って、もしかして……男の子が苦手とかだったりします? 』

  疑問に思っていたことを、そのままぶつけた
  あの時の竜雅先輩は、知られてはならない秘密、みたいな、そんな怖い顔をしていた
  その時、私は言ってはならなかった、と少し後悔をする

  『俺は…… ごめん、理由、いつか話すから、それまで待っていてくれないか? 』

  そう言った竜雅先輩は、少し悲しそうな顔をしていた



  「絶対、言っちゃ駄目な言葉だったなぁ—— 」

  たぶん、そう言葉が返ってくると思っていた。だけど、どうしても聞きたかった。何でそう思ったのか今でもよく分からない

  「はぁー……」

  なんか頭がもやもやする
  胸が苦しいような——

  ピリリリリッ!! 

  携帯の音が家に響きわたる
  誰だろ、そう思って携帯を開ける

  「今から家に来て練習しよ〜。美味しい料理あるからさぁ〜」

  唯先輩だった
  あの唯先輩が珍しく自分から誘ってきた

  そういう成り行きがあった

  「ここのビブラート難しいよね〜」
  「そうですよね…… 」
  「? あずにゃん? 」

  そういえば、竜雅先輩って、インターネットに載ってたりするのかな? 
  だとしたら、少し見てみたいな——

  「あ〜ず〜にゃ〜ん!! 」

  むぎゅうっ

  「ゆ、唯先輩!? 」

  気付いたら何時の間にか抱き締められていた

  「えへへ〜、あずにゃん柔らか〜い」
  「もう、放してくださいよぉ」

  えぇ〜、と渋々何とか放された
  もう、唯先輩は……

  「でもあずにゃんどうしたの? ぼーっとして」
  「いや、なんでもないです。そうだ、唯先輩の家パソコンありますか? 」
  「え、あるけど? 」
  「使わしてもらっても? 」
  「いいよ〜」

  なら丁度良いや、竜雅先輩検索してみよう



  「……すごい」
  「……本当だねぇ」

  私達が見たサイトには、竜雅先輩のことが大きく表示されている

  ——『カウンタースナイパー』石田竜雅。後陣においてのカウンタードライブが破壊級の威力を持ち、さらに変化を激しくつけたロビングを打ったスマッシュを、甘い球を見極め、その球を打っていく。カウンター成功率が90%以上を超える。元々はカット主戦型だったが、どうしても勝つことが出来なくなってしまい、攻撃型に転向。現在世界ランキング73位



  世界ランキングって……

  「でも、何で急に石田君なんか検索しようと思ったの〜? 」
  「えっ…… えっと……」

  なんて言えばいいんだ、私!
  なんか在り来たりな理由を……

  「……クラスの男子が竜雅先輩のこと、すごい噂してて、世界とか何とか言ってたから、興味もったんです」
  「ふ〜ん、そっかぁ」

  ……ほっ、よかった
  唯先輩はあまりこういうような話に食いついてこないからそれ以上言い訳を考える必要もなくなった

  「さっほら、唯先輩練習しましょ!? 」
  「うんそだねぇ」

  唯先輩がギターを弾き始めた
  私もそれに乗じる

  静かな音と、それを引っ張っていく音が重なり合い、心地よいメロディーを奏でていた
  それは、誰をも落ち着かせる音楽——