二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: けいおん! 会いたくて—— ( No.9 )
日時: 2011/01/20 20:54
名前: 藍那 ◆zCS1o.kilU (ID: Nf5qxtZ9)

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  片腕を負傷しながらでも取れた優勝
  その代償として、この一年間卓球が出来なくなった
  別に後悔はしていない—— って、前回想してたよな

  「じゃあ石田君って、すごいんだねぇ〜」

  平沢がパチパチ拍手してくれた

  「う……すごいのかな」
  「すごいだろうな……全国って……私達の夢みたいなものだし」

  夢? 

  「軽音部に大会なんてあるのか? 」

  えっへんという田井中の声がした

  「うちらはねぇ、最終目標が武道館なんだよ!! 」

  あぁ、そういうことか——
  するとドアがまた開いた
  今度は男子だった、体操服を着ている
  ちょっとだけ——

  心に不安が生じた

  「あのーすいません! 石田先輩っていますか!? 」
  「いるよ〜この子だよぉ〜」


  平沢、この子って……
  そしてその男子の後ろに5人の男子がいて、俺に駆け寄ってくる

  「石田先輩ですか!? よければ俺たちの部活に入ってくれませんか!? 」
  「石田先輩みたいな人がいると、俺らもしかしたら全国行けるかも知れないんです!! 」

  どうしよう…… 何て言えばいいんだろう
  怖くて、怖くて
  震えてきた—— 

  「石田先輩が軽音部に入るなんて勿体ないっすよ!! 」
  「それよりも卓球教えてください!! 」
  「ちょっと、それはどういうこと!? 」

  田井中も流石にキレたらしい

  「え、でも、間違いなく卓球部のほうが活躍できますよ!! 」

  他の部員もクスクス笑っている

  「ちょっと、とりあえず今日は帰って。石田も相当困ってるから」

  秋山だ——
  神だ、神が俺に手を差し伸べた

  「ちぇ、でも諦めませんからね! 」
  「石田先輩が卓球部以外はもったいないんだ!! 」

  そう言って、卓球部員が全員去っていった——



  「悪い、助けてくれて」

  怖くて震えたこと、これには理由があるんだ——
  またいつか、話そうとは思っているんだけど

  「いや、……嬉しかったです。石田先輩」

  えっと……中野だったっけ

  「とにかく、軽音部に入ってくれてよかったよ」

  今度は秋山だ

  「ごめんな…… 」
  「らしくねぇぞ石田! 男はもっと元気よく! 」

  田井中がニコっと笑う

  「ありがとう。分かったよ」
  「あのさ……」

  秋山が恐る恐る質問してくる
  急にどうした?

  「石田は……左利きなのか? 」
  「あぁ、一応」

  さっきまでとは打って変わって、秋山の目が、どんどん輝いていく

  「私もなんだ!! 嬉しいな、左利きがいるなんて!! 」
  「秋山も? 」
  「うん、レフティが少ないからベース選び困るんだ」

  あぁ、同じ苦しみを分かち合う人がいたっていうことか
  左利き……サウスポーだとどうしても自分に合ったギターやベースが右利きにしかないことが多い……からだと思う

  「じゃ、今日はとりあえず石田のパートを決めないとな」
  「そうだねぇ〜石田君は何がいいの? 」
  「一応、キーボードとベースとギターとドラムはもういるぞー」

  ……選択肢が少ないじゃないかよ

  「じゃ、リズムギターとかハーモニカ……」
  「ハーモニカ出来るの? 」

  皆がずいっと近寄る……顔近いんだってば

  「あぁ、昔ピアノとギター習ってて、それが毎日毎日あったからたぶんつまらなかったんだと思う。それで気分転換にハーモニカ独学してた」
  「へぇ〜」
  「じゃあ、石田のパートはリズムギターとハーモニカな! 」
  「え、でも私もリズムだし、かぶるんじゃぁ……」

  中野の意見だ

  「中野はエレクトリックギター? 」
  「え、そうですけど……」
  「じゃあ、俺がアコースティックギター買えば問題ないだろ」
  「アコースティック出来るの? 」
  「そんな変わらないしな。明日練習すればすぐにでも弾けるようになるだろ」

  皆納得したらしい

  「よし、今家にあるのか? 」
  「いや、買うけど? 」

  皆唖然としている

  「今日買うんじゃ駄目なのか? 」
  「そんあすぐに金って……」
  「でるけど」

  俺の金銭感覚が間違っているのだろうか。いや、でも琴吹は頷いているしおれはおかしくないだろう

  こうして、軽音部の騒がしい一日は終わりを告げた——





  NEXT……