二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: (BASARA)淡々と。 ( No.3 )
- 日時: 2011/01/10 11:44
- 名前: 零 (ID: slitpE5G)
act.1「高校生」
—…桜が舞い落ち、様々な人物が真新しい制服に身を包む春。
それは、入学式にとってはとても良い天気の日の事だった。
何処にでも居る平凡な新高校生—羽村亜美—は舞い落ちる桜を見つめて溜息を吐いた。
感激したわけでも無く、ただこれから待ち受ける高校生活に少し不安を覚えて、だ。
「嗚呼、やっぱりこうなるのか」
この世界に生まれ落ち、亜美は多少ながらもこうなる事は予想していた。
そう、まさか、自分が前世で好きだったゲームのキャラクターが存在している、なんて。
小学生の時、学校で少なくとも2人は見かけた。
それにこの高校生の入学式。壇上にて挨拶をする生徒会長がそのキャラクターだったりする。
「でも、私は平凡なんだから」
言い聞かせるように呟けば、亜美は無表情で帰路についた。
家に着いて、鍵を開けて、部屋に入ろうと、ドアノブをまわしても、誰も居ないこの空間。
そう、亜美は一人暮らしだ。
一緒に住むことが嫌なわけでもなく、ただ、好きなことができるという期待に身を任せ、高校生になってから始める。
中学の卒業式を終えてからずっと住んできたが、始めの頃の虚しさはすでに無い。
「疲れたぁー…」
ポツリ、と呟いた言葉には誰も反応せず、亜美は改めて寂しさ、とほんの少しだけ覚えた。
部屋に入り、真新しいパソコンを立ち上げ、まだ明るいというのに淡い水色のカーテンを閉め、ミネラルウォーターの入ったペットボトルを片手にカーテンとそろいの同じ淡い水色のベッドへと寝転がる。
暫く寝転び、すぐにパソコンと向き合う亜美。
カタカタ、と打ち込むのはチャット仲間に、だ。
彼女は「シン」というハンドルネームを使いチャットをしている。名前の意味は特に無い。
—チャットルーム—
シン「こんちゃ!」
さくら「こんちゃーっ」
シン「今日入学式でしたvわーい、高校生だ!」
さくら「おおっ、仲間入りですねおめでとう!」
シン「よろしくお願いしますね、せ・ん・ぱ・い(はぁと)」
さくら「うわーっ。宜しくね、後輩よ!」
シン「偉そうにしないの! では、そろそろ落ちです」
さくら「ばいちゃー」
—チャットルーム—
心にも無いことを打ち込み、さくら、という相手に落ち…つまり、退室することを告げてから亜美はパソコンを閉じる。
正直言えば、楽しいが毎日やるのは億劫だ。
ましてや、高校生などと忙しい時期にやるなんて。
「明日からどうなるんだろう…」
疲れた様子で呟いて、制服姿のまま亜美は眠りに落ちた。