二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.11 )
日時: 2011/03/21 13:09
名前: 翡翠&勾菜 (ID: oYJ2fVYh)
参照: http://www.kakiko.cc/bbs3/index.cgi?mode

〜麗菜・緤菜〜

晴明の後継の言葉は、私達にとって都合のよいことだった。

あの、安倍晴明に会える。

この事実が大切だった。

だが、十二神将は後継の言葉に驚きを隠せないらしい。
しかし、もう歩きだしてしまった手前、止めることができないとあきらめたのだろう。

紅い髪の男は、ため息をひとつつくと瞬き一つで白い異形の姿に変えた。
それを見た私達はつい動きを止める。

「…なんで…」
「神将が、異形の姿を…」

私達の呟きを聞きとった神将…——騰陀。
否、白い異形が不機嫌そうに声を上げる。

「なんだ、悪いか?」
と、そこに昌浩が声を上げる。
「もっくん!…ごめんね、麗菜さん、緤菜さん。」

「もっくん…?」
麗菜の呟きをとらえた昌浩が頷く。

「そう、もっくん。物の怪だから、もっくん。
 麗菜さんも、緤菜さんも、もっくんって、よんでいいから。」
と、笑顔で言う。

「おい、待てコラ昌浩。」
物騒な目をした物の怪の目が据わる。

「もっくん…」
「物の怪…」
と、双子が同時につぶやく。

瞬間、物の怪の怒号がとんだ。
「物の怪言うなぁぁっ!!!!」

それを聞いた瞬間、私達の中で何かが切れた音がした。
「あはははっ!」
「はははっ、し、神将な、のにっ!」
「あはははははっ!!も、もののけ言うなって…」
「あはははっ!わ、わかるっ!」

私達は、久しぶりに年相応の顔をして笑った。
「もっくんも、たまには役に立つね。」
と、昌浩がこぼす。
「たまには、って何だよ!たまにはって!!」
と、物の怪。

そんな様子を見ていた、黒髪の女性は少しだけ興味深そうに、双子たちを見つめていた。