二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.117 )
- 日時: 2011/12/19 21:01
- 名前: 翡翠 (ID: E/OZE6Yo)
〜緤菜〜
聖域の中へ傷ついた二人を連れて戻ると、手頃な広さの部屋へ通された。
どうやら、この場所で話を再開するらしい。
ちなみに此処に紅蓮達の姿は無い。
聖域にある泉で傷を癒すとのことだった。
それを聞いて、元々ここには疲れを取り除くために来たのだということを思い出した。今の今まですっかり忘れてたけど……。
「それじゃあ、改めて聞かせてくれるわね?」
一度息を吐き出し、心を落ち着かせる。
そうした後、私はつい先ほどの出来事をあるがままに説明した。
* * *
説明を終えた後、私は元居た部屋で取り合えず休むように言われた。
動くにしても、今はまだ、時ではないとも言っていた。
確かにそうなのかもしれない。
神将である二人はどうしてなのか未だ目覚める気配も無く、比古とたゆらの居場所も今ははっきりしないとのことだった。
とにかく、情報が不足していて戦力も十分で無い今、下手に動くのは得策ではないと、そういうことだと思う。
それは、理解できるし、現状がそうなんだろう。
それでも、一分でも早く助けに行きたい、そう願っては駄目なのだろうか?
「やっぱり、私……」
呟き外へ出ようと、襖に手をかけた瞬間鈍い痛みが全身を駆け抜けた。
「っ……!」
ジリジリとした焼けるような痛み。
これは……。
「結界……?」
出口には結界が施されていた。
それも強力な。……壊すことは出来るが、それでも、霊力の消耗は激しいと予想された。仕方なく結界が誰のものであるのかを探る。
意識を集中すると、一人の人物の霊力であると分かった。
「……風音さん」
彼女の霊力だった。
神の子でもある彼女の結界は聖域内でもあるせいか、とても清浄な気に満ちているように思えた。
外に出るという考えを改めて空を見てみる。
闇に包まれた中で輝く幾つもの星。
それがとても綺麗で何だか寂しく思えた。
どうすることも出来ないまま、時が流れていくのをただ、待っていた。