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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.118 )
- 日時: 2011/12/24 21:21
- 名前: 勾菜 (ID: ujgQ5QpY)
〜櫻〜
あの子を見たときに自分の存在する価値がわからなくなった。
どうして私はここにいるのだろう。
あの子の体を使ってまでどうして。
私に、その答えがわかることはなかった。
* * *
「どうするの、この子」
「そうじゃのう…これに誰にもわからないような呪を施して、あちらに返すのもよいかもしれんのう」
「ああ、ようするにこいつも俺たちの手駒にするってことですか?」
「そうなるのう」
くつくつと笑い声が響く。
ろうそくの炎に照らされた影は四つ。
「おもしろそう…この子を操って向こう側の内情を知るのとかに役立ちそうね」
ほのかな笑みを浮かべながら、櫻は言葉を発する。
彼女らが連れてきたこの少年——名を昌浩といったか。
それをどうするかを話し合っていた。
「天孤の血を引いた子供…お前たちは本当にいいものを連れてきたのう…扱いがいがあるものじゃ」
「で、結局どうするんです?」
壁に寄り掛かって、腕を組んでいる廉狼は珠櫻に忠誠を誓っている。
彼には存在する意味があるんだろうと考える。
私は…と考えれば、つきりと胸が痛んだ。
「この子供を手駒として、あちらに返そうか」
「じゃあ、私が返しに行くわ」
こんなことでいいのなら、私も役に立ちたい…そう思った。
「ん?そうかえ?じゃあ頼むとするかの」
うっすらと珠櫻は口元に笑みを浮かべた。
それから数刻のちに
昌浩をあちらにかえすために櫻はここを出て行った。
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