二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.134 )
日時: 2012/01/25 20:20
名前: 勾菜 (ID: iRJ1Fm4A)

〜昌浩〜

声が聞こえた。
不安を募らせ、恐怖を覚えるような、おぞましい声。
その声が、俺を呼んでいた。
何度も、何度も。
振りはらっても振りはらっても、また聞こえ始める。
だんだんと心を暗く覆うような不思議な感覚をおぼえる。

何度も、妖と戦ってきたけれどそれとは違う恐怖。
大切な人を失うかもしれないと思うのとも違う。
言い知れない恐怖に心を締めつけられる。

知っている人の後姿。
助けて、俺に気がついて、そう叫んでも何も聞こえないようにふっとどこかへ行ってしまう。
それを繰り返す。何度も何度も。
声がかれても、もしかしたら聞こえるんじゃないか…
その少ない可能性にかけて。
でも、全て裏切られる。
恐怖と孤独。
独り、闇の中に取り残される、そういう恐怖。

でも…もう耐えられない。
そう思ってしまった、その瞬間。
頭の中で光がはじけた。

***

目を開ければ、そこが道反の聖域だとわかる。
だけど、自分とは違う意識が動いてるような感覚で張られている結界を破り、外へと出た。


















——向かうのは自分に呼びかける声の主のもと。

でも、今の自分には絶対に近寄らないでほしい…きっと傷つけてしまうから…